けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

中古資産の耐用年数

中古資産の耐用年数とは、中古で取得した減価償却資産について、使用可能期間として見積もった年数、または簡便法によって算定した年数である(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項)。

中古で取得した資産は、法定耐用年数より短い年数で償却できる場合があります。 簡便法で算定した年数と、その根拠の条番号を出します。

簡便法で算定する

資産名から調べる
年(取得するまでに経過した年数)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

法定耐用年数22年の木造住宅を、築10年で取得した

法定耐用年数 22年/経過年数 10年

法定耐用年数22年の木造住宅を、築10年で取得したの計算例
項目条番号
法定耐用年数22年減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1条第1項・別表第一
簡便法の式(22 − 10) + 10 × 20% = 14 → 1年未満切捨て・2年下限 → 14年耐用年数省令第3条第1項第2号
簡便法による耐用年数14年耐用年数省令第3条第1項第2号(1年未満の端数は切り捨て、2年に満たないときは2年)

法定耐用年数6年の車を、3年落ちで取得した

法定耐用年数 6年/経過年数 3年

法定耐用年数6年の車を、3年落ちで取得したの計算例
項目条番号
法定耐用年数6年減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1条第1項・別表第一
簡便法の式(6 − 3) + 3 × 20% = 3.6 → 1年未満切捨て・2年下限 → 3年耐用年数省令第3条第1項第2号
簡便法による耐用年数3年耐用年数省令第3条第1項第2号(1年未満の端数は切り捨て、2年に満たないときは2年)

法定耐用年数6年の車を、7年落ちで取得した(法定年数を過ぎている)

法定耐用年数 6年/経過年数 7年

法定耐用年数6年の車を、7年落ちで取得した(法定年数を過ぎている)の計算例
項目条番号
法定耐用年数6年減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1条第1項・別表第一
簡便法の式(法定年数を過ぎている場合)6 × 20% = 1.2 → 1年未満切捨て・2年下限 → 2年耐用年数省令第3条第1項第2号
簡便法による耐用年数2年耐用年数省令第3条第1項第2号(1年未満の端数は切り捨て、2年に満たないときは2年)
条番号
耐用年数省令第3条第1項第2号
適用
中古資産。使用可能期間の見積りが困難な場合
出どころ
減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四十年大蔵省令第十五号)
適用年度
減価償却資産の耐用年数等に関する省令 2026-05-22 施行(改正版 340M50000040015_20260522_508M60000040029)
取得日
2026-09-02

中古で取得した資産は、法定耐用年数をそのまま使う必要がない。使用可能期間の年数を見積もる方法か、簡便法で算定できる(耐用年数省令第3条第1項)。

見積もる方法は、その資産を使い始めた時点から、あと何年使えるかを見積もる(同項第1号)。ただし、見積もるための資料が無いこともある。技術者による特別の調査が必要になる場合や、見積りに多額の費用がかかる場合は、簡便法を使える(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-5-4)。

見積法が原則で、簡便法は「見積もることが困難なもの」に限られる

耐用年数省令第3条第1項は2つの号を並べている。

条番号
第1号(見積法)その用に供した時以後の使用可能期間の年数減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第1号
第2号(簡便法)第1号の年数を見積もることが困難なものに限り、法定耐用年数から計算した年数同項第2号

簡便法は誰でも使えるわけではない。 第2号のかっこ書きが「前号の年数を見積もることが困難なものに限る」と書いている。見積もれるなら見積法である。

「困難」の判定は同省令に書かれていない。

取得の形は問わない

第1項は「個人において使用され、又は法人において事業の用に供された……資産の取得」と書いている(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項)。

売買に限られない。 誰かが使っていた資産を取得すれば対象になる。

取得した後すぐ使わなかった場合

第1号のかっこ書きが、取得した後直ちに業務の用に供しなかった場合を定めている(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第1号)。

取得した時から引き続き業務の用に供したものとして見込まれる使用可能期間で見る。

簡便法は2通り

状態年数条番号
法定耐用年数の全部を経過した資産法定耐用年数の100分の20減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号イ
法定耐用年数の一部を経過した資産(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数の100分の20同号ロ

どちらも「その年数が2年に満たないときは、これを2年とする」(同項第2号)。最低2年である。

簡便法の2つの式を、数字で並べる

法定耐用年数10年の資産を例にする(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号)。

経過年数年数条番号
10年(全部経過)10 × 20%2年減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号イ
6年(10 − 6)+ 6 × 20% = 4 + 1.25年同号ロ
3年(10 − 3)+ 3 × 20% = 7 + 0.67年同号ロ
1年(10 − 1)+ 1 × 20% = 9 + 0.29年同号ロ

イは法定耐用年数の20%、ロは残りの年数に経過年数の20%を足す形である(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号イ・ロ)。

イの結果が2年に満たないときも2年になる(同項第2号)。法定耐用年数が9年以下の資産を全部経過して取得すると、常に2年である。

なぜ20%なのか、条文は書いていない

減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号イ・ロは「百分の二十に相当する年数」とだけ書いている。 理由は書かれていない。

この道具は、条文が定めた計算をそのまま行う。

端数の扱い

耐用年数省令第3条第1項第2号は端数について書いていない。 1年未満の端数の切捨ては通達によるもので、省令の本文には無い。

この道具は、その扱いを明示したうえで計算している。

簡便法が使える別表は4つに限られる

簡便法が使えるのは、別表第一・別表第二・別表第五・別表第六に掲げる減価償却資産に限られる(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号かっこ書き)。

別表
別表第一機械及び装置以外の有形減価償却資産
別表第二機械及び装置
別表第五公害防止用減価償却資産
別表第六開発研究用減価償却資産

別表第三(無形減価償却資産)と別表第四(生物)は入っていない。 ソフトウェアや家畜には簡便法が使えない。

資本的支出が取得価額の50%を超えると、簡便法が使えない

第1項ただし書が書いている(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項ただし書)。

当該資産について支出した所得税法施行令第百八十一条(資本的支出)又は法人税法施行令第百三十二条(資本的支出)に規定する金額が当該資産の取得価額……の百分の五十に相当する金額を超える場合には、第二号に掲げる年数についてはこの限りでない

除かれるのは第2号(簡便法)だけである。 第1号の見積法は使える。「中古資産の耐用年数が使えない」のではなく、「簡便法が使えない」である。

資本的支出の定義は所得税法施行令第181条・法人税法施行令第132条にある(同項ただし書)。

再取得価額の50%を超える資本的支出をした場合も同じ扱いになる(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-5-2)。この場合は別表第一、別表第二、別表第五または別表第六に定める法定耐用年数による(同通達1-5-2)。

「〜によることができる」

第1項は「前二条の規定にかかわらず、次に掲げる年数によることができる」と書いている(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項)。

義務ではない。 中古資産でも法定耐用年数(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1条)で償却することができる。

算定できるのは事業に使い始めた年だけ

算定できる時期にも決まりがある。簡便法または見積法による算定は、その資産を事業の用に供した事業年度にすることができる。その年度に算定しなかったときは、その後の年度では算定できない(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-5-1)。

経過年数が不明なときは、構造・形式・表示されている製作の時期などを考えて、経過年数を適正に見積もる(同通達1-5-5)。

通達は法令ではない

上に挙げた「耐用年数の適用等に関する取扱通達」は、国税庁が示す法令の解釈であって、法令そのものではない。e-Gov法令検索で条文として取得することはできず、国税庁のサイトに掲載されている。

けんざんは、法令から機械で取れる数値と、通達や国税庁の解説から人が写した内容を分けて扱っている。このページの簡便法の算式は法令(耐用年数省令第3条)から、使えない場合の細かい扱いは通達から取っている。

法定耐用年数は別表から取る

一般の減価償却資産の耐用年数は、資産の区分に応じた別表による(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1条第1項各号)。

資産別表
第1号機械及び装置以外の有形減価償却資産別表第一
第2号機械及び装置別表第二
第3号無形減価償却資産別表第三
第4号生物別表第四

耐用年数を資産名から調べるを参照。

組織再編で引き継いだ場合

適格合併等により被合併法人等から資産の移転を受けた場合、被合併法人等が使っていた耐用年数を引き継ぐ(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第2項)。

この道具は個人・法人が中古で取得した場合を扱っている。

よくある取り違え

1. 「中古なら簡便法を使う」

見積もることが困難なものに限られる(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号)。

2. 「中古資産なら、この計算をしなければならない」

「よることができる」である(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項)。法定耐用年数でもよい。

3. 「最低は1年」

2年である(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号)。

4. 「全部経過なら必ず2年」

法定耐用年数の20%が2年以上なら、その年数になる(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号イ)。法定耐用年数15年なら3年である。

5. 「経過年数の20%を足すだけ」

法定耐用年数から経過年数を引いた年数に足す(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号ロ)。

6. 「どの資産でも簡便法が使える」

別表第一・第二・第五・第六に掲げるものに限られる(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号かっこ書き)。

7. 「ソフトウェアも簡便法が使える」

別表第三は簡便法の対象に入っていない(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号かっこ書き)。

8. 「資本的支出が50%を超えたら中古資産の耐用年数は使えない」

使えなくなるのは簡便法(第2号)だけである(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項ただし書)。見積法(第1号)は使える。

よくある質問

端数はどうしますか

減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号は端数について書いていない。 1年未満の切捨ては通達による。この道具はその扱いを明示している。

経過年数はどう数えますか

耐用年数省令第3条第1項第2号ロは「経過年数」としか書いていない。 数え方は通達による。

経過年数が分からない場合は

減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第1号の見積法による。

建物を中古で買った場合は

別表第一に掲げる資産なので、簡便法の対象になる(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第2号)。

事業年度の途中で取得したら

耐用年数省令第3条は月割りを書いていない。 償却費の月割りは所得税法施行令第132条による。

償却方法はどうなりますか

耐用年数の話であって、償却方法は別である(所得税法施行令第120条の2)。減価償却の計算を参照。

個人と法人で違いますか

同じ省令が両方を対象にしている(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項)。

償却率はどこにありますか

耐用年数が決まってから、耐用年数省令の別表第七から別表第十で引く。償却率表を参照。

この計算が扱っていないこと

  • 見積法(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第1項第1号)
  • 資本的支出が50%を超える場合の判定(同項ただし書)
  • 経過年数の数え方
  • 適格組織再編成による引継ぎ(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第3条第2項・第3項)

減価償却そのものは減価償却の計算にある。取得した機械や器具備品は、償却資産として固定資産税・都市計画税の対象にもなる(地方税法第341条第4号)。耐用年数とは別の制度である。数字をどう確かめたかは検算の方法にある。

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