けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

在職老齢年金の支給停止額

在職老齢年金とは、老齢厚生年金の受給権者が被保険者などである間、報酬と年金の額に応じて年金の一部または全部の支給を停止する仕組みである(厚生年金保険法第46条第1項・第3項)。

支給停止調整額は62万円と条文に書いてあります(厚生年金保険法第46条第3項)。超えた額の2分の1に12を乗じた額が停止されます(同条第1項)。

計算する

加給年金額と繰下げの加算額を除いた額(厚生年金保険法第46条第1項かっこ書き)
標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除した額の合計(厚生年金保険法第46条第1項)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

老齢厚生年金の額(年額) 1,200,000円/総報酬月額相当額 500,000円

項目金額条番号
基本月額(年金額 ÷ 12)100,000円厚生年金保険法第46条第1項
総報酬月額相当額との合計額600,000円厚生年金保険法第46条第1項
支給停止調整額620,000円厚生年金保険法第46条第3項(第1項の支給停止調整額は、62万円とする)
支給停止調整額を超える額0円厚生年金保険法第46条第1項
支給停止基準額(超える額の2分の1 × 12)0円厚生年金保険法第46条第1項
支給される老齢厚生年金の額(年額)1,200,000円厚生年金保険法第46条第1項
  • 合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額の支給を停止する(厚生年金保険法第46条第1項)
  • 老齢基礎年金は支給停止の対象にならない
  • 支給停止調整額の毎年度の改定は政令に委ねられている(厚生年金保険法第46条第4項)
条番号
厚生年金保険法第46条第1項・第3項
適用
厚生年金保険法第46条第1項。老齢厚生年金の受給権者で被保険者である者等
出どころ
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)
適用年度
厚生年金保険法 2026-05-25 施行(改正版 329AC0000000115_20260525_506AC0000000052)
取得日
2026-08-31

条文

厚生年金保険法(2026-05-25 施行)から取りました。1566字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点から変わっています。 文字が変わったことだけを確かめています。答えが変わるかは別です(何が変わったか)。

厚生年金保険法第46条第1項・第3項 を開く

(支給停止)第四十六条老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日(厚生労働省令で定める日を除く。)、国会議員若しくは地方公共団体の議会の議員(前月以前の月に属する日から引き続き当該国会議員又は地方公共団体の議会の議員である者に限る。)である日又は七十歳以上の使用される者(前月以前の月に属する日から引き続き当該適用事業所において第二十七条の厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る。)である日が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の一年間の標準賞与額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額(国会議員又は地方公共団体の議会の議員については、その者の標準報酬月額に相当する額として政令で定める額とその月以前の一年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額として政令で定める額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額とし、七十歳以上の使用される者(国会議員又は地方公共団体の議会の議員を除く。次項において同じ。)については、その者の標準報酬月額に相当する額とその月以前の一年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額とする。以下「総報酬月額相当額」という。)及び老齢厚生年金の額(第四十四条第一項に規定する加給年金額及び第四十四条の三第四項に規定する加算額を除く。以下この項において同じ。)を十二で除して得た額(以下この項において「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額の二分の一に相当する額に十二を乗じて得た額(以下この項において「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(同条第四項に規定する加算額を除く。)の支給を停止するものとする。2第二十条から第二十五条までの規定は、前項の七十歳以上の使用される者の標準報酬月額に相当する額及び標準賞与額に相当する額を算定する場合に準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。3第一項の支給停止調整額は、六十二万円とする。ただし、六十二万円に令和七年度以後の各年度の物価変動率に第四十三条の二第一項第二号に掲げる率を乗じて得た率をそれぞれ乗じて得た額(その額に五千円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五千円以上一万円未満の端数が生じたときは、これを一万円に切り上げるものとする。以下この項において同じ。)が六十二万円(この項の規定による支給停止調整額の改定の措置が講ぜられたときは、直近の当該措置により改定した額)を超え、又は下るに至つた場合においては、当該年度の四月以後の支給停止調整額を当該乗じて得た額に改定する。4前項ただし書の規定による支給停止調整額の改定の措置は、政令で定める。5第一項の規定により老齢厚生年金の全部又は一部の支給を停止する場合においては、第三十六条第二項の規定は適用しない。6第四十四条第一項の規定によりその額が加算された老齢厚生年金については、同項の規定によりその者について加算が行われている配偶者が、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)、障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であつて政令で定めるものの支給を受けることができるときは、その間、同項の規定により当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給を停止する。

誰が対象になるか

第1項は3つの立場を並べている(厚生年金保険法第46条第1項)。

立場条件
被保険者前月以前の月に属する日から引き続き被保険者の資格を有する者
国会議員・地方公共団体の議会の議員前月以前の月に属する日から引き続きその地位にある者
70歳以上の使用される者前月以前の月に属する日から引き続き厚生年金保険法第27条の厚生労働省令で定める要件に該当する者

70歳以上で厚生年金の被保険者でなくなっても、使用されていれば対象になる。

総報酬月額相当額の出し方

標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額である(厚生年金保険法第46条第1項)。

賞与も月割りにして入れる。 標準報酬月額だけではない。標準報酬月額そのものは社会保険料(厚生年金・健康保険)で扱っている。

国会議員等と70歳以上の使用される者については、政令で定める額に読み替える(同項かっこ書き)。

基本月額から除かれるもの

第1項のかっこ書きが2つを除いている。

除かれるもの条番号
加給年金額厚生年金保険法第44条第1項
繰下げの加算額厚生年金保険法第44条の3第4項
合わせて除いたうえで12で除する厚生年金保険法第46条第1項

この道具は、除いた後の年金額を入れてもらう形にしている。

支給停止調整額は62万円と条文に書いてある

第1項の支給停止調整額は、62万円とする(厚生年金保険法第46条第3項)。

料率や基準額が政令や告示にしか無い制度が多いなかで、この額は法律の本文に書かれている

ただし同項ただし書が毎年度の改定を定めている。 62万円に、令和7年度以後の各年度の物価変動率と第43条の2第1項第2号に掲げる率を乗じて得た額(5,000円未満は切り捨て、5,000円以上1万円未満は1万円に切り上げ)が62万円を超え、または下るに至った場合、その年度の4月以後の支給停止調整額を改定する。

改定の措置は政令で定める(厚生年金保険法第46条第4項)。改定後の額は法律には現れない。

停止するのは、超えた分の2分の1に12を掛けた額

総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額を超えるとき、その合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額の支給を停止する(厚生年金保険法第46条第1項)。

超えた額の全部が止まるのではない。2分の1である。

停止額が年金額以上なら全部止まる

支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、その全部の支給を停止する(厚生年金保険法第46条第1項ただし書)。

差し引いて負にはならない。

月単位で判定する

第1項は「その月の分の当該老齢厚生年金について」と書いている(厚生年金保険法第46条第1項)。

年単位ではない。 標準報酬月額が変われば、その月から支給停止額も変わる。

全部停止のときは第36条第2項を適用しない

第1項により老齢厚生年金の全部または一部の支給を停止する場合、第36条第2項の規定は適用しない(厚生年金保険法第46条第5項)。

加給年金額の扱い

第44条第1項によりその額が加算された老齢厚生年金については、加給年金額の側にも支給停止の定めがある(厚生年金保険法第46条第6項)。

この道具は加給年金額を除いた額で計算している。

老齢基礎年金は止まらない

支給停止の対象は老齢厚生年金である(厚生年金保険法第46条第1項)。老齢基礎年金は国民年金法にあり、在職による支給停止の定めは無い。国民年金の保険料と老齢基礎年金を参照。

よくある取り違え

1. 「超えた額が全部止まる」

2分の1である(厚生年金保険法第46条第1項)。

2. 「支給停止調整額は政令にしかない」

62万円は法律の本文にある(厚生年金保険法第46条第3項)。改定後の額が政令にある。

3. 「総報酬月額相当額は標準報酬月額のこと」

その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除した額も合算する(厚生年金保険法第46条第1項)。

4. 「老齢基礎年金も止まる」

止まらない。 対象は老齢厚生年金である(厚生年金保険法第46条第1項)。

5. 「加給年金額も基本月額に入る」

除かれる(厚生年金保険法第46条第1項かっこ書き・同法第44条第1項)。

よくある質問

70歳以上でも対象ですか

対象である(厚生年金保険法第46条第1項)。厚生年金保険法第27条の厚生労働省令で定める要件に該当する者である。

いつから止まりますか

第1項は「その月の分の当該老齢厚生年金について」と書いている(厚生年金保険法第46条第1項)。月単位である。

賞与が多い月はどうなりますか

その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除した額が入る(厚生年金保険法第46条第1項)。1か月だけで跳ねない。

退職したら戻りますか

第1項の要件から外れれば支給停止は無くなる。 資格喪失の扱いは厚生年金保険法第14条にある。

繰下げをしていた場合は

繰下げの加算額は基本月額から除かれる(厚生年金保険法第46条第1項かっこ書き・同法第44条の3第4項)。

支給停止額に上限はありますか

支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、その全部を停止する(厚生年金保険法第46条第1項ただし書)。年金額を超えて引かれることはない。

この計算が扱っていないこと

  • 支給停止調整額の毎年度の改定(厚生年金保険法第46条第4項の政令)
  • 国会議員等・70歳以上の使用される者の読み替え(同条第1項かっこ書き・第2項)
  • 加給年金額の支給停止(同条第6項)
  • 老齢厚生年金の額そのもの(厚生年金保険法第43条)

老齢基礎年金は国民年金の保険料と老齢基礎年金にある。数字をどう確かめたかは検算の方法にある。

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