前年の所得税が一定額以上だった人は、その年の所得税の一部を前もって納める(所得税法第104条第1項)。
15万円以上のとき、3分の1を2回
条文は「予定納税基準額が十五万円以上である場合には、第一期…及び第二期…において、それぞれその予定納税基準額の三分の一に相当する金額の所得税を国に納付しなければならない」と書いている(所得税法第104条第1項)。
| 期 | 期間 | 納める額 | 条番号 |
|---|---|---|---|
| 第1期 | その年7月1日から7月31日まで | 予定納税基準額の3分の1 | 所得税法第104条第1項 |
| 第2期 | その年11月1日から11月30日まで | 同じ | 同項 |
「以上」である。 14万9,999円なら義務は無く、15万円ちょうどなら予定納税が必要になる(所得税法第104条第1項)。
3分の1を2回なので、残りの3分の1は確定申告のときに精算する(所得税法第104条第1項)。
予定納税基準額は、2つの号の引き算
| 号 | 中身 | 条番号 |
|---|---|---|
| 第1号 | 前年分の課税総所得金額に係る所得税の額 | 所得税法第104条第1項第1号 |
| 第2号 | その各種所得につき源泉徴収をされた又はされるべきであった所得税の額 | 同項第2号 |
第1号から第2号を引いた額が予定納税基準額である(所得税法第104条第1項)。
一時的な所得は、無かったものとみなす
第1号のかっこ書きが、4つの所得を除いている(所得税法第104条第1項第1号)。
譲渡所得の金額、一時所得の金額、雑所得の金額又は雑所得に該当しない臨時所得の金額がある場合には、政令で定めるところにより、これらの金額がなかつたものとみなして計算した額
前年にたまたま大きな譲渡所得や一時所得があっても、予定納税の基準には入らない。 毎年続く所得ではないためである。
第2号にも対応するかっこ書きがある。 一時所得・雑所得・雑所得に該当しない臨時所得について源泉徴収された税額は、第2号から控除される(所得税法第104条第1項第2号かっこ書き)。第1号で除いたものは第2号でも除く。
災害の減免があった年は、無かったものとして計算する
第1号のかっこ書きは、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律第2条の適用があった場合には、その適用がなかったものとして計算するとも書いている(所得税法第104条第1項第1号)。
端数は100円未満切捨て
3分の1に相当する金額に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる(所得税法第104条第3項)。
この端数処理は所得税法第104条第3項にある。 国税通則法の一般則ではない。
3分の1を2回納めるので、合計は基準額と一致しない。 切り捨てのぶんと、割り切れない残りが確定申告の側に回る。上の計算は、合計と残りも出している。
期限が延長されて年を越す場合は、無いものとする
国税通則法第11条による期限の延長で、納期限がその年12月31日後となる場合、その予定納税額はないものとする(所得税法第104条第2項)。
よくある取り違え
1. 「前年の所得税額の3分の1を2回納める」
予定納税基準額の3分の1である(所得税法第104条第1項)。基準額は源泉徴収税額を引いた後で、譲渡所得などを除いて計算する(同項第1号・第2号)。
2. 「譲渡所得があると予定納税が増える」
譲渡所得は無かったものとみなす(所得税法第104条第1項第1号かっこ書き)。
3. 「端数は1円まで納める」
100円未満は切り捨てる(所得税法第104条第3項)。
4. 「3分の1を2回で全部納める」
残る。 3分の1を2回なので3分の2までである。残りは確定申告の側になる。
5. 「15万円を超えたら」
15万円以上である(所得税法第104条第1項)。ちょうど15万円でも義務がある。
よくある質問
特別農業所得者はどうなりますか
第1項の柱書が、所得税法第107条第1項の規定による納付をすべき者を除いている(所得税法第104条第1項)。第2期だけの納付になる。
予定納税額を減らせますか
減額の承認の申請が所得税法第111条にある。 第104条には書かれていない。その年の所得が前年より少なくなる見込みのときに申請できる。
納めた予定納税額はどうなりますか
確定申告で精算する。 所得税法第120条第1項に定めがある。
通知はいつ来ますか
所得税法第106条に通知の定めがある。 第104条には書かれていない。
源泉徴収されている給与だけの場合は
第2号で源泉徴収税額を引くので、基準額が15万円以上になりにくい(所得税法第104条第1項第2号)。
第1期を納め忘れたら
所得税法第104条には延滞の定めが無い。 延滞税は国税通則法第60条にある。
この計算が扱っていないこと
- 予定納税基準額そのもの。第1号の調整(譲渡所得などを無かったものとみなす)も含めて、入れた額を使う
- 予定納税額の減額の承認(所得税法第111条)
- 特別農業所得者の予定納税(所得税法第107条)
- 通知の手続(所得税法第106条)
- 復興特別所得税を含めた額かどうかの判定
- 延滞税(国税通則法第60条)。割合が財務大臣の告示によるため、けんざんでは扱っていない
前年分の所得税額そのものは所得税の税率で計算できる。源泉徴収された額は給与の源泉徴収税額や報酬・料金の源泉徴収税額にある。納期限を過ぎたときの加算税も別のページにある。数字をどう確かめたかは検算の方法に書いてある。