けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

消費税の簡易課税(みなし仕入率)の計算

消費税の簡易課税とは、基準期間の課税売上高が一定額以下である事業者が届出をした場合に、売上げに係る消費税額に事業の区分ごとのみなし仕入率を乗じた額を、仕入れに係る消費税額とみなす特例である(消費税法第37条第1項第1号/消費税法施行令第57条第1項・第2項・第5項)。

第四種事業の60%だけは消費税法の本文に書かれています。ほかの5つは施行令第57条第1項にあります。

計算する

みなし仕入率90%(消費税法施行令第57条第1項第1号)
みなし仕入率80%(消費税法施行令第57条第1項第2号)
みなし仕入率70%(消費税法施行令第57条第1項第3号)
みなし仕入率60%(消費税法第37条第1項第1号)
みなし仕入率50%(消費税法施行令第57条第1項第4号)
みなし仕入率40%(消費税法施行令第57条第1項第5号)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

第一種事業(卸売業)の消費税額 0円/第二種事業(小売業など)の消費税額 0円/第三種事業(建設業・製造業など)の消費税額 1,000,000円/第四種事業(飲食店業など)の消費税額 0円/第五種事業(サービス業など)の消費税額 0円/第六種事業(不動産業)の消費税額 0円

項目金額条番号
第三種事業(農林漁業・鉱業・建設業・製造業など) × 70%700,000円消費税法施行令第57条第1項第3号
売上げに係る消費税額の合計1,000,000円消費税法第37条第1項第1号
みなし仕入率 70% で控除する消費税額700,000円消費税法施行令第57条第1項第3号
納付する消費税額300,000円消費税法第37条第1項(売上げに係る消費税額から、みなし仕入率で計算した額を引いたもの)
  • 第三種事業(農林漁業・鉱業・建設業・製造業など)の定義は消費税法施行令第57条第5項第3号にある
  • 簡易課税を選べるのは、基準期間の課税売上高が50,000,000円以下で、届出書を出した課税期間である(消費税法第37条第1項)
  • 課税標準額に対する消費税額そのものは計算していない。入れた額を使う
条番号
消費税法第37条第1項第1号/消費税法施行令第57条第1項・第2項・第5項
適用
消費税法第37条第1項。基準期間の課税売上高5,000万円以下で届出書を出した事業者
出どころ
消費税法(昭和六十三年法律第百八号)
適用年度
消費税法 2026-04-01 施行(改正版 363AC0000000108_20260401_508AC0000000012)
出どころ
消費税法施行令(昭和六十三年政令第三百六十号)
適用年度
消費税法施行令 2026-05-22 施行(改正版 363CO0000000360_20260522_508CO0000000096)
取得日
2026-08-31

どこまでを計算しているか

出すのは、みなし仕入率と控除する消費税額までである。特定一事業の課税売上高が75%以上ならその事業の率を全体に使えるという定めだが、判定に使うのは課税売上高(税抜対価の額)であって、この道具が受け取る消費税額ではない。売上げに係る対価の返還等(消費税法第38条第1項)、特定課税仕入れ(消費税法第37条第1項第2号)、貸倒れの調整も扱っていない。届出書の提出(消費税法第37条第1項)と、基準期間における課税売上高が5,000万円以下であることが要る。インボイス制度に合わせて設けられた2割特例も扱っていない。それは消費税法の本則ではなく、改正法の附則にある。

条文

消費税法(2026-04-01 施行)/消費税法施行令(2026-05-22 施行)から取りました。3035字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点から変わっています。 文字が変わったことだけを確かめています。答えが変わるかは別です(何が変わったか)。

消費税法第37条第1項第1号/消費税法施行令第57条第1項・第2項・第5項 を開く

(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)第三十七条事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者及びその課税期間の初日において所得税法第二条第一項第八号の四(定義)又は法人税法第二条第十二号の十九(定義)に規定する恒久的施設を有しない国外事業者を除く。)が、その納税地を所轄する税務署長にその基準期間における課税売上高(第九条第一項に規定する基準期間における課税売上高をいう。以下この項及び次条第一項において同じ。)が五千万円以下である課税期間(第十二条第一項に規定する分割等に係る同項の新設分割親法人又は新設分割子法人の政令で定める課税期間(以下この項及び次条第一項において「分割等に係る課税期間」という。)を除く。)についてこの項の規定の適用を受ける旨を記載した届出書を提出した場合には、当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(当該届出書を提出した日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が五千万円を超える課税期間及び分割等に係る課税期間を除く。)については、第三十条から前条までの規定により課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、これらの規定にかかわらず、次に掲げる金額の合計額とする。この場合において、当該金額の合計額は、当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。一当該事業者の当該課税期間の課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。)に係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額から当該課税期間における第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の百分の六十に相当する金額(卸売業その他の政令で定める事業を営む事業者にあつては、当該残額に、政令で定めるところにより当該事業の種類ごとに当該事業における課税資産の譲渡等に係る消費税額のうちに課税仕入れ等の税額の通常占める割合を勘案して政令で定める率を乗じて計算した金額)二当該事業者の当該課税期間の特定課税仕入れに係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額から当該課税期間における第三十八条の二第一項に規定する特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除した残額2前項第二号の規定により、当該課税期間の特定課税仕入れに係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額から当該課税期間における第三十八条の二第一項に規定する特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除して控除しきれない金額があり、かつ、当該控除しきれない金額を前項第一号に掲げる金額から控除してなお控除しきれない金額(以下この項において「控除未済金額」という。)があるときは、当該控除未済金額を課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして当該課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。3第一項の規定の適用を受けようとする事業者は、次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該各号に定める期間は、同項の規定による届出書を提出することができない。ただし、当該事業者が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間から同項の規定の適用を受けようとする場合に当該届出書を提出するときは、この限りでない。一当該事業者が第九条第七項の規定の適用を受ける者である場合同項に規定する調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から同日以後三年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間二当該事業者が第十二条の二第二項の新設法人である場合又は第十二条の三第三項の特定新規設立法人である場合において第十二条の二第二項(第十二条の三第三項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)に規定する場合に該当するとき第十二条の二第二項に規定する調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から同日以後三年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間三当該事業者が第十二条の四第一項に規定する場合に該当するとき(前二号に掲げる場合に該当する場合を除く。)高額特定資産(同項に規定する高額特定資産をいう。以下この号及び次号において同じ。)に係る同項に規定する高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から同日(当該高額特定資産が同項に規定する自己建設高額特定資産である場合にあつては、当該自己建設高額特定資産の建設等(同項に規定する建設等をいう。同号において同じ。)が完了した日の属する課税期間の初日)以後三年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間四当該事業者が第十二条の四第二項に規定する場合に該当するとき(前三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)高額特定資産である棚卸資産若しくは課税貨物又は同項に規定する調整対象自己建設高額資産について前条第一項又は第三項の規定の適用を受けた課税期間の初日から同日(当該調整対象自己建設高額資産の建設等が調整適用日(これらの規定に規定する場合に該当することとなつた日をいう。)の前日までに完了していない場合にあつては、当該建設等が完了した日の属する課税期間の初日)以後三年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間五当該事業者が第十二条の四第三項に規定するときに該当するとき(前各号に掲げる場合に該当する場合を除く。)同項に規定するときに該当する課税期間の初日から同日以後三年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間4前項各号に規定する事業者が当該各号に掲げる場合に該当することとなつた場合において、同項第一号若しくは第二号に規定する調整対象固定資産の仕入れ等の日、同項第三号に規定する高額特定資産の仕入れ等の日若しくは同項第四号に規定する調整適用日の属する課税期間又は同項第五号に規定するときに該当する課税期間の初日から同項各号に掲げる場合に該当することとなつた日までの間に第一項の規定による届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しているときは、同項の規定の適用については、その届出書の提出は、なかつたものとみなす。5第一項の規定による届出書を提出した事業者は、同項の規定の適用を受けることをやめようとするとき、又は事業を廃止したときは、その旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。6前項の場合において、第一項の規定による届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、同項に規定する翌課税期間の初日から二年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、同項の規定の適用を受けることをやめようとする旨の届出書を提出することができない。7第五項の規定による届出書の提出があつたときは、その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日以後は、第一項の規定による届出は、その効力を失う。8やむを得ない事情があるため第一項又は第五項の規定による届出書を第一項の規定の適用を受けようとし、又は受けることをやめようとする課税期間の初日の前日までに提出できなかつた場合における同項又は前項の規定の適用の特例については、政令で定める。

簡易課税は、実際の仕入れを見ずに、売上げに係る消費税額にみなし仕入率を掛けて控除する消費税額を求める仕組みである(消費税法第37条第1項)。

使えるのは、基準期間における課税売上高が5,000万円以下で、届出書を出した課税期間である(消費税法第37条第1項)。

6つの率のうち、1つだけ法律に書いてある

第四種事業の60%は消費税法の本文にある。第37条第1項第1号が「当該残額の百分の六十に相当する金額」と書いている(消費税法第37条第1項第1号)。

残り5つは施行令にある。 同号は続けて「卸売業その他の政令で定める事業を営む事業者にあつては、…政令で定める率を乗じて計算した金額」と書き、その率を消費税法施行令第57条第1項が定めている(消費税法第37条第1項第1号)。

事業区分みなし仕入率率の条番号定義の条番号
第一種事業90%消費税法施行令第57条第1項第1号同条第5項第1号
第二種事業80%同条第1項第2号同条第5項第2号
第三種事業70%同条第1項第3号同条第5項第3号
第四種事業60%消費税法第37条第1項第1号消費税法施行令第57条第5項第6号
第五種事業50%消費税法施行令第57条第1項第4号同条第5項第4号
第六種事業40%同条第1項第5号同条第5項第5号

施行令第57条第1項に第四種事業は出てこない。 第1号から第5号までが第一種・第二種・第三種・第五種・第六種であり、第四種は飛ばされている(消費税法施行令第57条第1項)。法律の本文に書いてあるからである。

どの事業に当たるか

定義は施行令第57条第5項にある(消費税法施行令第57条第5項)。

  • 第一種:卸売業(同項第1号)。他の者から購入した商品を、性質・形状を変えずに事業者に販売する事業である(同条第6項)
  • 第二種:小売業、飲食料品の譲渡を行う農業・林業・漁業(同条第5項第2号)
  • 第三種:農業・林業・漁業・鉱業・建設業・製造業・電気業など(同項第3号)
  • 第五種:運輸通信業、金融業・保険業、サービス業(飲食店業を除く)(同項第4号)
  • 第六種:不動産業(同項第5号)
  • 第四種:上のどれにも当たらない事業(同項第6号)。飲食店業がここに入る

卸売業と小売業の違いは、売る相手が事業者かどうかだけである(消費税法施行令第57条第6項)。商品に手を加えれば、どちらでもなくなる。

2以上の事業があるときは加重平均する

施行令第57条第2項は、率を「売上げに係る消費税額のうちに、区分ごとに率を乗じた金額の合計額が占める割合」と定めている(消費税法施行令第57条第2項)。

第一種60万円・第五種40万円なら、60万×90% + 40万×50% = 74万円で、率は74%になる(消費税法施行令第57条第2項)。

この道具は、割合を先に出してから掛けるのではなく、区分ごとに掛けてから足している。 結果は同じで、途中で丸めが入らない。

画面に出している率は小数2桁までである。 第一種1円・第六種2円なら率は56.66%と出るが、控除額は(1×90 + 2×40)÷ 100 で1円である(消費税法施行令第57条第2項)。表示の率を掛けても同じ額にならないことがある。

この計算が扱っていないこと

特定一事業が75%以上の場合の特例を扱っていない(消費税法施行令第57条第3項)。この判定に使うのは課税売上高(税抜対価の額)であって、この道具が受け取る消費税額ではない。入力が足りないので出していない。

課税標準額に対する消費税額そのものを計算していない。 入れた額をそのまま使う。売上げの金額から消費税額を出す計算は消費税の税率と内訳にある。

次のものも扱っていない。

  • 売上げに係る対価の返還等(消費税法第38条第1項)
  • 特定課税仕入れ(消費税法第37条第1項第2号)
  • 簡易課税を選べるかどうかの判定(消費税法第37条第1項・第3項)
  • 2割特例

原則課税で使う仕入税額控除(消費税法第30条)とは別の仕組みである。数字をどう確かめたかは検算の方法に、いつの条文で計算しているかはいつの条文で計算するかに書いてある。

関連する計算

同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

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