けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

配当控除の計算

配当控除とは、剰余金の配当などによる配当所得がある場合に、その金額に応じて計算した額を所得税額から直接差し引く税額控除である(所得税法第92条第1項)。

配当控除は所得控除ではなく税額控除です。総所得金額からではなく、所得税額から引きます(所得税法第92条第1項)。

計算する

剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配・金銭の分配
所得控除を引いたあとの金額
控除額はこの額を超えない(所得税法第92条第2項)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

剰余金の配当等に係る配当所得 1,000,000円/証券投資信託の収益の分配に係る配当所得 0円/課税総所得金額 5,000,000円/その年分の所得税額 600,000円

項目金額条番号
剰余金の配当等 × 10%100,000円所得税法第92条第1項第1号イ
配当控除の額(所得税額から引く)100,000円所得税法第92条第1項第1号(総所得金額からではなく、所得税額から引く)
  • 配当控除は税額控除である。所得控除の欄に入れない
条番号
所得税法第92条第1項
適用
所得税法第92条第1項。所得税額から引く税額控除
出どころ
所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
適用年度
所得税法 2026-08-12 施行(改正版 340AC0000000033_20260812_508AC0000000064)
取得日
2026-08-31

どこまでを計算しているか

配当控除は所得控除ではなく税額控除である。総所得金額からではなく、所得税額から引く(所得税法第92条第1項)。控除する金額が所得税額を超えるときは、所得税額までとする(同条第2項)。申告分離課税を選んだ配当、上場株式等の配当で申告不要を選んだもの、外国法人からの配当は対象にならない(同条第1項かっこ書き)。

条文

所得税法(2026-08-12 施行)から取りました。1246字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。

所得税法第92条第1項 を開く

(配当控除)第九十二条居住者が剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。以下この条において同じ。)、利益の配当(同項に規定する利益の配当をいう。以下この条において同じ。)、剰余金の分配(同項に規定する剰余金の分配をいう。以下この条において同じ。)、金銭の分配(同項に規定する金銭の分配をいう。以下この条において同じ。)又は証券投資信託の収益の分配(第九条第一項第十一号(元本の払戻しに係る収益の分配の非課税)に掲げるものを含まない。以下この条において同じ。)に係る配当所得(外国法人から受けるこれらの金額に係るもの(外国法人の国内にある営業所、事務所その他これらに準ずるものに信託された証券投資信託の収益の分配に係るものを除く。)を除く。以下この条において同じ。)を有する場合には、その居住者のその年分の所得税額(前節(税率)の規定による所得税の額をいう。以下この条において同じ。)から、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。一その年分の課税総所得金額が千万円以下である場合次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額イ剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配及び金銭の分配(以下この項において「剰余金の配当等」という。)に係る配当所得当該配当所得の金額に百分の十を乗じて計算した金額ロ証券投資信託の収益の分配に係る配当所得当該配当所得の金額に百分の五を乗じて計算した金額二その年分の課税総所得金額が千万円を超え、かつ、当該課税総所得金額から証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額を控除した金額が千万円以下である場合次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額イ剰余金の配当等に係る配当所得当該配当所得の金額に百分の十を乗じて計算した金額ロ証券投資信託の収益の分配に係る配当所得当該配当所得の金額のうち、当該課税総所得金額から千万円を控除した金額に相当する金額については百分の二・五を、その他の金額については百分の五をそれぞれ乗じて計算した金額の合計額三前二号に掲げる場合以外の場合次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額イ剰余金の配当等に係る配当所得当該配当所得の金額のうち、当該課税総所得金額から千万円とロに掲げる配当所得の金額との合計額を控除した金額に達するまでの金額については百分の五を、その他の金額については百分の十をそれぞれ乗じて計算した金額の合計額ロ証券投資信託の収益の分配に係る配当所得当該配当所得の金額に百分の二・五を乗じて計算した金額2前項の規定による控除をすべき金額は、課税総所得金額に係る所得税額、課税山林所得金額に係る所得税額又は課税退職所得金額に係る所得税額から順次控除する。この場合において、当該控除をすべき金額がその年分の所得税額をこえるときは、当該控除をすべき金額は、当該所得税額に相当する金額とする。3第一項の規定による控除は、配当控除という。

配当控除は所得控除ではない。 総所得金額から引くのではなく、所得税額から引く税額控除である(所得税法第92条第1項)。

引く相手が違うので、基礎控除医療費控除と同じ場所には入らない。先に所得税の税率で税額を出し、そこから引く。

所得控除ではなく税額控除である

配当控除は、その年分の所得税額から控除する(所得税法第92条第1項)。

所得から引くのではない。税額から引く。 所得税法第21条第1項でいえば第5号の段で、基礎控除など所得控除(第3号の段)とは段が違う。基礎控除を参照。

剰余金の配当等の範囲

第1項が4つを並べている(所得税法第92条第1項)。剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配である。

これらをまとめて「剰余金の配当等」と呼ぶ(同項第1号)。証券投資信託の収益の分配は別枠で、率が半分になる。

元本の払戻しに係る収益の分配(所得税法第9条第1項第11号)は、この条にいう証券投資信託の収益の分配に含まない(同法第92条第1項)。

課税総所得金額の1,000万円で3つの号に分かれる

課税総所得金額が1,000万円という線で、率の当て方が変わる(所得税法第92条第1項各号)。

どんな場合条番号
第1号課税総所得金額が1,000万円以下所得税法第92条第1項第1号
第2号1,000万円を超え、かつ証券投資信託の収益の分配に係る配当所得を引いた額が1,000万円以下同項第2号
第3号前2号以外同項第3号

第2号の条件は2つある。 課税総所得金額が1,000万円を超えることと、そこから証券投資信託の配当所得を引くと1,000万円以下になることである(所得税法第92条第1項第2号)。3段の階段ではなく、どこで1,000万円を超えるかで率の当て方が変わる(同項第1号〜第3号)。

率は2種類 × 2段

配当所得の区分1,000万円以下の部分1,000万円超の部分条番号
剰余金の配当等100分の10100分の5所得税法第92条第1項第1号イ・第3号イ
証券投資信託の収益の分配100分の5100分の2.5同項第1号ロ・第3号ロ

1,000万円を超えると率が半分になる。 剰余金の配当等は10%→5%、証券投資信託は5%→2.5%である(所得税法第92条第1項第1号〜第3号)。証券投資信託の側は、剰余金の配当等の半分の率である。

号ごとの当て方は次のとおりである。

  • 第1号(1,000万円以下)は、剰余金の配当等に10%、証券投資信託の収益の分配に5%を掛ける(所得税法第92条第1項第1号イ・ロ)
  • 第2号は、剰余金の配当等の全額に10%を掛ける(同項第2号イ)。証券投資信託の収益の分配は2つに割り、課税総所得金額から1,000万円を引いた金額に相当する部分は2.5%、その他の部分は5%である(同号ロ)
  • 第3号は、証券投資信託の収益の分配の全額に2.5%を掛ける(同項第3号ロ)

第3号の分け方が独特

第3号イは「課税総所得金額から1,000万円とロに掲げる配当所得の金額との合計額を控除した金額に達するまでの金額については100分の5を、その他の金額については100分の10を」と書いている(所得税法第92条第1項第3号イ)。

低い率を先に当てる書き方である(所得税法第92条第1項第3号イ)。1,000万円を超えている部分から先に5%を当て、残りに10%を当てる(同号イ)。

引く順序と、所得税額を超えては引けないこと

課税総所得金額に係る所得税額、課税山林所得金額に係る所得税額、課税退職所得金額に係る所得税額から順次控除する(所得税法第92条第2項)。

控除すべき金額が所得税額を超えるときは、所得税額に相当する金額とする(同項後段)。引ききれなかった分は繰り越せない。 条文に繰越しの定めが無い(所得税法第92条第2項)。

対象にならない配当

第1項のかっこ書きが「外国法人から受けるこれらの金額に係るもの……を除く」と書いている(所得税法第92条第1項)。ただし、外国法人の国内営業所に信託された証券投資信託の収益の分配は除かれない(同かっこ書き)。

上場株式等の配当所得について申告分離課税を選択した場合、配当控除は適用されない。 これは租税特別措置法第8条の4第1項による。上場株式等の配当で申告不要を選んだものも、そもそも配当所得として総合課税されないため対象にならない(租税特別措置法第8条の5)。総合課税を選んだ場合だけ、所得税法第92条の配当控除が使える。

住民税にも配当控除がある

地方税法第37条(道府県民税)・第314条の9(市町村民税)にある。 率は所得税と違う。

よくある取り違え

1. 「配当控除は所得から引く」

税額から引く(所得税法第92条第1項)。

2. 「率は一律10%」

証券投資信託は5%である(所得税法第92条第1項第1号ロ)。1,000万円を超えるとどちらも半分になる。

3. 「1,000万円は配当所得の額で見る」

課税総所得金額で見る(所得税法第92条第1項各号)。

4. 「引ききれない分は翌年に繰り越せる」

繰り越せない(所得税法第92条第2項後段)。所得税額が上限である。

5. 「外国株の配当も対象」

外国法人からのものは除かれる(所得税法第92条第1項かっこ書き)。

よくある質問

NISAの配当はどうなりますか

非課税なので配当所得にならない。 配当控除の対象外である。

源泉徴収された税額はどうなりますか

所得税額から引く(所得税法第120条第1項第5号)。配当控除とは別の段である。

申告不要制度を選んだ場合は

配当所得として申告しないので、配当控除も使えない。

課税総所得金額とは何ですか

総所得金額から所得控除を引いた残額である(所得税法第89条第2項)。所得税の税率と税額を参照。

外国税額控除と重ねられますか

両方とも税額控除である(所得税法第92条・第95条)。所得税法第21条第1項第5号が両方を挙げている。外国税額控除の限度額を参照。

J-REITの分配金は対象ですか

所得税法第92条第1項が挙げる配当所得に当たるかによる。 投資法人からの金銭の分配は租税特別措置法第9条に別の定めがある。

この計算が扱っていないこと

  • 申告分離課税を選んだ場合(租税特別措置法第8条の4・第8条の5)
  • 住民税の配当控除(地方税法第37条・第314条の9)
  • 外国法人からの配当(所得税法第92条第1項かっこ書き)
  • 投資法人からの金銭の分配(租税特別措置法第9条)

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同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

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