けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

相続税の未成年者控除・障害者控除

相続税の未成年者控除・障害者控除とは、財産を取得した相続人が未成年者または障害者である場合に、その者の相続税額から決められた額を差し引く仕組みである(相続税法第19条の3第1項・第2項/第19条の4第1項)。

年数は1年未満の端数を1年に切り上げます(相続税法第19条の3第1項)。引ききれない額は扶養義務者から引きます(同条第2項)。

計算する

障害者・特別障害者に当たるかどうかの判定はしていない(相続税法第19条の4第2項)
到達年齢までの年数を数える。1年未満の端数は1年に切り上げる(相続税法第19条の3第1項)
配偶者の税額軽減や2割加算を当てたあとの額(相続税法第19条の3第1項)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

控除の区分 未成年者控除/相続開始時の年齢 10歳/その人の相続税額(控除する前) 5,000,000円

項目金額条番号
18歳に達するまでの年数8年相続税法第19条の3第1項
1年あたり 100,000円 を掛けた額800,000円相続税法第19条の3第1項
その人の相続税額から引ける額800,000円相続税法第19条の3第1項
控除後の相続税額4,200,000円相続税法第19条の3第1項
  • 未成年者控除は1年あたり100,000円で、18歳までの年数を掛ける(相続税法第19条の3第1項)
  • 年数は1年未満の端数は1年に切り上げる(相続税法第19条の3第1項)
  • 引ききれない額は扶養義務者の相続税額から引く(相続税法第19条の3第2項)。障害者控除も同じ形である(相続税法第19条の4第3項)
  • 障害者・特別障害者に当たるかどうかの判定はしていない
条番号
相続税法第19条の3第1項・第2項/第19条の4第1項
適用
相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項。被相続人の相続人
出どころ
相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)
適用年度
相続税法 2026-04-01 施行(改正版 325AC0000000073_20260401_506AC0000000008)
取得日
2026-08-31

どこまでを計算しているか

未成年者控除と障害者控除だけを扱っている。利用者が選ぶ形にしている。居住無制限納税義務者などの要件(相続税法第19条の3第1項かっこ書き・第19条の4第1項かっこ書き)も判定していない。過去の相続で控除を受けたことがある場合の制限(相続税法第19条の3第3項)は扱っていない。引ききれない額をそのまま出す。配偶者の税額軽減や2割加算を当てたあとの税額を入れること。

条文

相続税法(2026-04-01 施行)から取りました。1233字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。

相続税法第19条の3第1項・第2項/第19条の4第1項 を開く

(未成年者控除)第十九条の三相続又は遺贈により財産を取得した者(第一条の三第一項第三号又は第四号の規定に該当する者を除く。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)に該当し、かつ、十八歳未満の者である場合においては、その者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から十万円にその者が十八歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき、又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。2前項の規定により控除を受けることができる金額がその控除を受ける者について第十五条から前条までの規定により算出した金額を超える場合においては、その超える部分の金額は、政令で定めるところにより、その控除を受ける者の扶養義務者が同項の被相続人から相続又は遺贈により取得した財産の価額について第十五条から前条までの規定により算出した金額から控除し、その控除後の金額をもつて、当該扶養義務者の納付すべき相続税額とする。3第一項の規定に該当する者がその者又はその扶養義務者について既に前二項の規定による控除を受けたことがある者である場合においては、その者又はその扶養義務者がこれらの規定による控除を受けることができる金額は、既に控除を受けた金額の合計額が第一項の規定による控除を受けることができる金額(二回以上これらの規定による控除を受けた場合には、最初に相続又は遺贈により財産を取得した際に同項の規定による控除を受けることができる金額)に満たなかつた場合におけるその満たなかつた部分の金額の範囲内に限る。 (障害者控除)第十九条の四相続又は遺贈により財産を取得した者(第一条の三第一項第二号から第四号までの規定に該当する者を除く。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第一項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には、その者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から十万円(その者が特別障害者である場合には、二十万円)にその者が八十五歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき、又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。2前項に規定する障害者とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいい、同項に規定する特別障害者とは、同項の障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。3前条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。この場合において、同条第二項中「前条」とあるのは、「第十九条の三」と読み替えるものとする。

相続人が18歳未満または障害者である場合、その人の相続税額から一定額を引く(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。

1年あたりの額 × 到達年齢までの年数

控除1年あたり到達年齢条番号
未成年者控除10万円18歳相続税法第19条の3第1項
障害者控除(一般の障害者)10万円85歳相続税法第19条の4第1項
障害者控除(特別障害者)20万円85歳同項かっこ書き

未成年者控除は18歳、障害者控除は85歳が終点である(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。1年あたりの額は未成年者控除と一般の障害者控除が同じ10万円で、特別障害者だけ20万円である(同項かっこ書き)。

所得税の障害者控除(所得税法第79条第1項)は27万円と40万円で、比率が違う。 制度が別なので、額の関係も揃っていない。

1年未満は切り上げる

相続の開始の時から、18歳(障害者控除は85歳)に達するまでの年数である(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。

その年数が1年未満であるとき、または1年未満の端数があるときは、これを1年とする(同項)。切り捨てではない。

10歳6か月なら18歳まで7年6か月だが、切り上げて8年になる(相続税法第19条の3第1項)。17歳11か月なら1年として10万円を引く(同項)。

相続人であることが要る

被相続人の民法第5編第2章の規定による相続人に該当することが要件である(相続税法第19条の3第1項)。

相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人とする(同項かっこ書き)。放棄しても、放棄がなかったとすれば相続人だった者は対象になる。

遺贈だけを受けた相続人でない者は対象にならない。法定相続分を参照。

制限納税義務者は対象外

未成年者控除は相続税法第1条の3第1項第3号・第4号の者を除いている(相続税法第19条の3第1項)。

障害者控除は同項第2号から第4号までを除いている(相続税法第19条の4第1項)。除かれる範囲が違う。

障害者と特別障害者の定義は、この条の中にある

第2項が定義している(相続税法第19条の4第2項)。

中身
障害者精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるもの
特別障害者障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるもの

所得税法第2条第1項第28号・第29号と同じ書き方だが、条は別である。障害者控除を参照。

引ききれない分は扶養義務者から引く

控除を受けることができる金額が、その者の相続税額を超える場合、その超える部分の金額は、扶養義務者の相続税額から控除する(相続税法第19条の3第2項)。

扶養義務者は民法第877条による。 直系血族および兄弟姉妹である。

障害者控除も同じである(相続税法第19条の4第3項が第19条の3第2項を準用)。

未成年者控除では、これが効く場面が多い。 未成年者は取得する財産が少なく、相続税額も小さくなりやすいためである。この道具は本人の側だけを計算している。

2回目以降は、最初の額が上限になる

既に控除を受けたことがある者は、既に控除を受けた金額の合計額が、最初に相続または遺贈により財産を取得した際に控除を受けることができる金額に満たなかった場合の、その満たなかった部分の範囲内に限る(相続税法第19条の3第3項)。

2回目の相続で、また18歳までの年数分を引けるわけではない。 最初の相続のときの枠が上限である。

障害者控除も同じである(相続税法第19条の4第3項)。

相続税額から引く

第15条から前条までの規定により算出した金額から控除する(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。

課税価格からではない。相続税額から引く。

2割加算(相続税法第18条)や配偶者の税額軽減(同法第19条の2)の後の段である。

よくある取り違え

1. 「未成年者控除も85歳まで」

18歳までである(相続税法第19条の3第1項)。

2. 「1年未満は切り捨て」

切り上げである(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。

3. 「相続を放棄したら使えない」

放棄がなかったものとした場合における相続人が対象である(相続税法第19条の3第1項かっこ書き)。

4. 「2回目の相続でも満額引ける」

最初の相続のときの枠が上限である(相続税法第19条の3第3項)。

5. 「引ききれない分は捨てる」

扶養義務者の相続税額から引く(相続税法第19条の3第2項)。

よくある質問

扶養義務者とは誰ですか

民法第877条に扶養義務の定めがある。

障害の程度はどこで決まりますか

政令で定めるものである(相続税法第19条の4第2項)。相続税法施行令にある。

未成年者控除と障害者控除は重ねられますか

別の条である(相続税法第19条の3・第19条の4)。18歳未満の障害者なら両方に当たりうる。

制限納税義務者でも使えますか

第19条の3第1項が第1条の3第1項第3号・第4号の者を除いている。 障害者控除は第2号から第4号までを除く(相続税法第19条の4第1項)。

年数はいつから数えますか

相続の開始の時からである。 第1項は「その者が十八歳に達するまでの年数」と書いている。

所得税の障害者控除とは違いますか

別の制度である。 所得税法第79条は所得控除で、相続税法第19条の4は相続税額からの控除である。

この計算が扱っていないこと

  • 相続人に当たるかどうかの判定(相続税法第19条の3第1項)
  • 障害者・特別障害者に当たるかどうかの判定(相続税法第19条の4第2項の政令)
  • 制限納税義務者の判定(相続税法第1条の3第1項)
  • 2回目以降の控除の上限(相続税法第19条の3第3項)
  • 扶養義務者への振り替えと、扶養義務者が2人以上いる場合の按分(相続税法第19条の3第2項)。引ききれない額をそのまま出す

相続税の総額は相続税の基礎控除と総額に、配偶者の相続税額の軽減は別のページにある。所得税の障害者控除とは別の制度である。数字をどう確かめたかは検算の方法に書いてある。

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同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

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