相続人が18歳未満または障害者である場合、その人の相続税額から一定額を引く(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。
1年あたりの額 × 到達年齢までの年数
| 控除 | 1年あたり | 到達年齢 | 条番号 |
|---|---|---|---|
| 未成年者控除 | 10万円 | 18歳 | 相続税法第19条の3第1項 |
| 障害者控除(一般の障害者) | 10万円 | 85歳 | 相続税法第19条の4第1項 |
| 障害者控除(特別障害者) | 20万円 | 85歳 | 同項かっこ書き |
未成年者控除は18歳、障害者控除は85歳が終点である(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。1年あたりの額は未成年者控除と一般の障害者控除が同じ10万円で、特別障害者だけ20万円である(同項かっこ書き)。
所得税の障害者控除(所得税法第79条第1項)は27万円と40万円で、比率が違う。 制度が別なので、額の関係も揃っていない。
1年未満は切り上げる
相続の開始の時から、18歳(障害者控除は85歳)に達するまでの年数である(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。
その年数が1年未満であるとき、または1年未満の端数があるときは、これを1年とする(同項)。切り捨てではない。
10歳6か月なら18歳まで7年6か月だが、切り上げて8年になる(相続税法第19条の3第1項)。17歳11か月なら1年として10万円を引く(同項)。
相続人であることが要る
被相続人の民法第5編第2章の規定による相続人に該当することが要件である(相続税法第19条の3第1項)。
相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人とする(同項かっこ書き)。放棄しても、放棄がなかったとすれば相続人だった者は対象になる。
遺贈だけを受けた相続人でない者は対象にならない。法定相続分を参照。
制限納税義務者は対象外
未成年者控除は相続税法第1条の3第1項第3号・第4号の者を除いている(相続税法第19条の3第1項)。
障害者控除は同項第2号から第4号までを除いている(相続税法第19条の4第1項)。除かれる範囲が違う。
障害者と特別障害者の定義は、この条の中にある
第2項が定義している(相続税法第19条の4第2項)。
| 語 | 中身 |
|---|---|
| 障害者 | 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるもの |
| 特別障害者 | 障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるもの |
所得税法第2条第1項第28号・第29号と同じ書き方だが、条は別である。障害者控除を参照。
引ききれない分は扶養義務者から引く
控除を受けることができる金額が、その者の相続税額を超える場合、その超える部分の金額は、扶養義務者の相続税額から控除する(相続税法第19条の3第2項)。
扶養義務者は民法第877条による。 直系血族および兄弟姉妹である。
障害者控除も同じである(相続税法第19条の4第3項が第19条の3第2項を準用)。
未成年者控除では、これが効く場面が多い。 未成年者は取得する財産が少なく、相続税額も小さくなりやすいためである。この道具は本人の側だけを計算している。
2回目以降は、最初の額が上限になる
既に控除を受けたことがある者は、既に控除を受けた金額の合計額が、最初に相続または遺贈により財産を取得した際に控除を受けることができる金額に満たなかった場合の、その満たなかった部分の範囲内に限る(相続税法第19条の3第3項)。
2回目の相続で、また18歳までの年数分を引けるわけではない。 最初の相続のときの枠が上限である。
障害者控除も同じである(相続税法第19条の4第3項)。
相続税額から引く
第15条から前条までの規定により算出した金額から控除する(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。
課税価格からではない。相続税額から引く。
2割加算(相続税法第18条)や配偶者の税額軽減(同法第19条の2)の後の段である。
よくある取り違え
1. 「未成年者控除も85歳まで」
18歳までである(相続税法第19条の3第1項)。
2. 「1年未満は切り捨て」
切り上げである(相続税法第19条の3第1項・第19条の4第1項)。
3. 「相続を放棄したら使えない」
放棄がなかったものとした場合における相続人が対象である(相続税法第19条の3第1項かっこ書き)。
4. 「2回目の相続でも満額引ける」
最初の相続のときの枠が上限である(相続税法第19条の3第3項)。
5. 「引ききれない分は捨てる」
扶養義務者の相続税額から引く(相続税法第19条の3第2項)。
よくある質問
扶養義務者とは誰ですか
民法第877条に扶養義務の定めがある。
障害の程度はどこで決まりますか
政令で定めるものである(相続税法第19条の4第2項)。相続税法施行令にある。
未成年者控除と障害者控除は重ねられますか
別の条である(相続税法第19条の3・第19条の4)。18歳未満の障害者なら両方に当たりうる。
制限納税義務者でも使えますか
第19条の3第1項が第1条の3第1項第3号・第4号の者を除いている。 障害者控除は第2号から第4号までを除く(相続税法第19条の4第1項)。
年数はいつから数えますか
相続の開始の時からである。 第1項は「その者が十八歳に達するまでの年数」と書いている。
所得税の障害者控除とは違いますか
別の制度である。 所得税法第79条は所得控除で、相続税法第19条の4は相続税額からの控除である。
この計算が扱っていないこと
- 相続人に当たるかどうかの判定(相続税法第19条の3第1項)
- 障害者・特別障害者に当たるかどうかの判定(相続税法第19条の4第2項の政令)
- 制限納税義務者の判定(相続税法第1条の3第1項)
- 2回目以降の控除の上限(相続税法第19条の3第3項)
- 扶養義務者への振り替えと、扶養義務者が2人以上いる場合の按分(相続税法第19条の3第2項)。引ききれない額をそのまま出す
相続税の総額は相続税の基礎控除と総額に、配偶者の相続税額の軽減は別のページにある。所得税の障害者控除とは別の制度である。数字をどう確かめたかは検算の方法に書いてある。