けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

取得価額いくらから減価償却が必要か

取得価額とは、資産を取得するのに要した金額と、その資産を事業の用に供するために直接要した費用の額との合計額である(所得税法施行令第126条第1項)。

取得価額が一定の金額に満たない資産は、減価償却をせずにその年の経費にできます。境目は3つあり、そのうち1つは2026年4月1日に変わりました。 取得した日を指定すると、その日に効いていた条文で判定します。

取得価額と取得日から判定する

青色申告

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

取得価額 80,000円

取得価額 80,000円/青色申告でない/2026年8月12日時点の条文

取得価額 80,000円の計算例
項目条番号
取得価額80,000円所得税法施行令第126条第1項
10万円未満なので、その年に全額を必要経費にできる80,000円所得税法施行令第138条

取得価額 150,000円(青色申告でない)

取得価額 150,000円/青色申告でない/2026年8月12日時点の条文

取得価額 150,000円(青色申告でない)の計算例
項目条番号
取得価額150,000円所得税法施行令第126条第1項
20万円未満なので、一括償却資産として3年で均等償却できる50,000円所得税法施行令第139条

取得価額 150,000円(青色申告)

取得価額 150,000円/青色申告/2026年8月12日時点の条文

取得価額 150,000円(青色申告)の計算例
項目条番号
取得価額150,000円所得税法施行令第126条第1項
少額減価償却資産の特例(40万円未満・青色申告)。全額を必要経費にできる150,000円租税特別措置法第28条の2(個人)/第67条の5(法人)(2026-08-12 時点の条文。年間300万円が上限)

取得価額 350,000円(青色申告)

取得価額 350,000円/青色申告/2026年8月12日時点の条文

取得価額 350,000円(青色申告)の計算例
項目条番号
取得価額350,000円所得税法施行令第126条第1項
少額減価償却資産の特例(40万円未満・青色申告)。全額を必要経費にできる350,000円租税特別措置法第28条の2(個人)/第67条の5(法人)(2026-08-12 時点の条文。年間300万円が上限)
条番号
所得税法施行令第138条第139条租税特別措置法第28条の2
適用
取得した時点の条文で判定する
出どころ
所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)
適用年度
所得税法施行令 2026-05-22 施行(改正版 340CO0000000096_20260522_508CO0000000093)
出どころ
租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)
適用年度
租税特別措置法 2026-08-12 施行(改正版 332AC0000000026_20260812_508AC0000000064)
取得日
2026-08-31

取得価額が一定の金額に満たない資産は、減価償却をせずにその年の必要経費または損金にできる。境目は3つある。

3つの線は、別々の条にある

取得価額何ができるか条件条番号
10万円未満全額をその年の必要経費に算入するなし所得税法施行令第138条第1項
20万円未満一括償却資産として3年で均等に必要経費に算入する選択したとき所得税法施行令第139条第1項
40万円未満中小事業者の少額減価償却資産の特例青色申告。年間300万円まで租税特別措置法第28条の2

10万円と20万円は所得税法施行令、40万円は租税特別措置法にある。 3つを1つの表で語ると、根拠が別々であることが見えなくなる。

法人にも同じ趣旨の規定がある。10万円未満と一括償却資産は法人税法施行令第133条・第133条の2、少額減価償却資産の特例は租税特別措置法第67条の5である。

40万円は2026年4月1日に変わった金額

少額減価償却資産の特例の金額は、2026年4月1日から40万円未満になった。それより前に取得した資産には30万円未満が当たる(租税特別措置法第28条の2)。

適用期限も変わっている。改正前は令和8年3月31日まで、改正後は令和11年3月31日までである(租税特別措置法第28条の2)。

けんざんは e-Gov法令検索の法令APIで時点を指定して条文を取っている。上の判定機で取得日を変えると、その日に効いていた条文で判定する。

使用可能期間が1年未満なら、額に関わらず全額

所得税法施行令第138条第1項は「取得価額が十万円未満であるもの……又は……使用可能期間が一年未満であるもの」と書いている。

「または」である。 10万円以上でも、使用可能期間が1年未満なら全額を必要経費にできる。使用可能期間は所得税法施行令第181条第1号にある。

貸付けの用に供したものは除かれる

所得税法施行令第138条第1項と所得税法施行令第139条第1項の両方が、貸付け(主要な業務として行われるものを除く)の用に供したものを除いている。

「主要な業務として行われる」貸付けは除外の対象外である。 つまりレンタル業などの本業としての貸付けは、これまでどおり少額資産の扱いが使える。

判定は財務省令にある(所得税法施行令第138条第2項)。

業務の用に供した年で判定する

所得税法施行令第138条第1項は「業務の用に供した減価償却資産」と書いている。

取得した年ではなく、業務の用に供した年である。 一括償却も同じで、「業務の用に供した年以後3年間」と書いている(所得税法施行令第139条第1項)。

どれを使うかは選べる

10万円未満の資産を通常の減価償却で処理することもできる(所得税法施行令第138条第1項)。同項は「第四款(減価償却資産の償却)の規定にかかわらず……必要経費に算入する」と書いているが、適用を受けるかどうかは納税者が決める。

20万円未満の資産についても、第139条第1項は「その居住者が……一括したものの取得価額の合計額を……各年の費用の額とする方法を選択したときは」と書いている(所得税法施行令第139条第1項)。選択したときに適用される。

20万円未満の資産を一括償却資産にせず、少額減価償却資産の特例で処理することもできる(所得税法施行令第139条、租税特別措置法第28条の2)。

けんざんは、その取得価額と時点で使える選択肢を並べるところまでを扱っている。どれを選ぶかは書いていない。

一括償却は「特定の一部」でもよい

所得税法施行令第139条第1項は「当該対象資産の全部又は特定の一部を一括したもの」と書いている(所得税法施行令第139条第1項)。

対象になる資産をすべて一括償却にしなくてよい。 一部だけを選んで一括償却資産にできる。

一括償却は3で除する。月割りしない

一括償却対象額を3で除して計算した金額を、業務の用に供した年以後3年間の各年の必要経費に算入する(所得税法施行令第139条第1項)。

年の途中で取得しても、初年度から3分の1である。 通常の減価償却が事業供用月から月割りになる(所得税法施行令第132条第1項第1号イ)のと違う。減価償却の計算を参照。

除却しても3年で引き続ける

第3項に、必要経費に算入した金額がある場合の定めがある(所得税法施行令第139条第3項)。

一括償却資産は個別の資産として管理しない。 途中で捨てても、残りの年に3分の1ずつ引き続ける形になる。

一括償却には書類の要件がある

業務の用に供した日の属する年分の確定申告書に一括償却対象額を記載した書類を添付し、その計算に関する書類を保存している場合に限り適用する(所得税法施行令第139条第2項)。

少額減価償却資産の特例は本則に無い

中小事業者の少額減価償却資産の特例は租税特別措置法第28条の2にある。 所得税法にも所得税法施行令にも無い。青色申告書を提出する中小事業者が対象である。

年間の合計額に上限がある。 40万円未満の資産をいくつも取得した場合、特例を使える金額は1年あたり合計300万円までである(租税特別措置法第28条の2)。事業年度が1年に満たない場合は、300万円を12で除して事業年度の月数を掛けた金額になる。

この道具は3つの線をすべて判定する。ただし年間の合計額が300万円を超えているかどうかは判定していない(租税特別措置法第28条の2)。

償却資産税の扱いが変わる

固定資産税の償却資産は地方税法第341条第4号に定義がある。

一括償却資産は、この償却資産から除かれる扱いがある(地方税法第341条第4号)。10万円未満で全額を必要経費にしたもの(所得税法施行令第138条第1項)も同じである。取得価額の線が、所得税と固定資産税の両方に効く。

固定資産税・都市計画税を参照。

法人の側との対応

内容個人法人
10万円未満所得税法施行令第138条法人税法施行令第133条
20万円未満所得税法施行令第139条法人税法施行令第133条の2
40万円未満租税特別措置法第28条の2租税特別措置法第67条の5

同じ内容が2つの政令に分かれて書かれている。 この道具は個人(所得税法施行令)の側を扱っている。

少額減価償却資産の特例は、個人と法人で条が違う。 個人は第28条の2、法人は第67条の5である。

よくある取り違え

1. 「10万円・20万円・40万円は同じ制度の3段」

別々の法令にある(所得税法施行令第138条・第139条、租税特別措置法第28条の2)。

2. 「10万円未満は必ず全額必要経費」

通常の減価償却で処理することもできる(所得税法施行令第138条第1項)。

3. 「10万円以上なら必ず減価償却」

使用可能期間が1年未満なら全額を必要経費にできる(所得税法施行令第138条第1項)。

4. 「20万円未満は全部を一括償却しなければならない」

特定の一部でよい(所得税法施行令第139条第1項)。

5. 「一括償却も月割りになる」

ならない(所得税法施行令第139条第1項)。3で除した額を各年の必要経費にする。

6. 「一括償却は申告書に何も書かなくてよい」

書類の添付と保存が要る(所得税法施行令第139条第2項)。

7. 「貸付け用でも使える」

除かれる(所得税法施行令第138条第1項・第139条第1項)。ただし主要な業務として行われる貸付けは除外の対象外である。

8. 「レンタル資産には使えない」

主要な業務として行われる貸付けは除外の対象外である(所得税法施行令第138条第1項・第139条第1項)。

9. 「少額減価償却資産の特例は個人も法人も同じ条」

個人は租税特別措置法第28条の2、法人は同法第67条の5である。

よくある質問

取得価額はどう計算しますか

所得税法施行令第126条第1項各号または第2項による(所得税法施行令第138条第1項)。

消費税は取得価額に入りますか

所得税法施行令第126条の取得価額の計算による。 税抜経理か税込経理かで変わる。

使用可能期間1年未満とは

所得税法施行令第181条第1号に定めがある(所得税法施行令第138条第1項)。

中古で買った場合も同じですか

取得価額で判定する(所得税法施行令第138条第1項)。中古かどうかは要件に無い。

少額資産と減価償却は併用できますか

同じ資産についてはどちらか一方である。 第139条第1項が第138条第1項の適用があるものを除いている。

一括償却の書類は何が要りますか

確定申告書に一括償却対象額を記載した書類を添付し、計算に関する書類を保存する(所得税法施行令第139条第2項)。

一括償却資産を除却したらどうなりますか

所得税法施行令第139条第3項に定めがある。

少額減価償却資産の特例に上限はありますか

年間の合計額300万円が上限である(租税特別措置法第28条の2)。この道具は取得価額から特例を使えるかを判定するが、年間の合計額が300万円を超えているかどうかは判定していない。

償却資産税はどうなりますか

地方税法第341条第4号の償却資産の定義による。 一括償却資産は課税対象から外れる扱いがある。固定資産税・都市計画税を参照。

法人でも同じ金額ですか

法人税法施行令第133条・第133条の2に同じ形の定めがある。 条は別である。

この計算が扱っていないこと

  • 年間の合計額300万円を超えているかの判定(租税特別措置法第28条の2)
  • 取得価額の計算(所得税法施行令第126条)
  • 貸付けの判定(所得税法施行令第138条第2項の財務省令)
  • 一括償却資産の除却(所得税法施行令第139条第3項)
  • 償却資産税(地方税法第341条第4号)
  • 法人の側(法人税法施行令第133条・第133条の2)

減価償却そのものは減価償却の計算にある。数字をどう確かめたかは検算の方法にある。

減価償却が必要な場合の計算 中古で取得した場合の耐用年数 この判定を何と突き合わせているか

関連する計算

同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

この計算を何と突き合わせているか いつの条文で計算するか 計算の一覧