けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

障害者控除の計算

障害者控除とは、居住者本人や同一生計配偶者・扶養親族が障害者である場合に、その年分の総所得金額などから決められた額を差し引く所得控除である(所得税法第79条第1項〜第3項)。

27万円・40万円・75万円(所得税法第79条第1項〜第3項)。どの項から来る額かを出します。

計算する

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

区分 障害者/人数 1人

項目金額条番号
障害者控除(障害者)270,000円所得税法第79条第1項・第2項

特別障害者が1人

区分 特別障害者/人数 1人

項目金額条番号
障害者控除(特別障害者)400,000円所得税法第79条第1項・第2項

同居している特別障害者が1人

区分 同居している特別障害者/人数 1人

項目金額条番号
障害者控除(同居特別障害者)750,000円所得税法第79条第3項

障害者が2人

区分 障害者/人数 2人

項目金額条番号
障害者控除(障害者 2人)540,000円所得税法第79条第1項・第2項
条番号
所得税法第79条第1項〜第3項
適用
本人・同一生計配偶者・扶養親族が障害者である場合
出どころ
所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
適用年度
所得税法 2026-08-12 施行(改正版 340AC0000000033_20260812_508AC0000000064)
取得日
2026-08-31

条文

所得税法(2026-08-12 施行)から取りました。386字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。

所得税法第79条第1項〜第3項 を開く

(障害者控除)第七十九条居住者が障害者である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から二十七万円(その者が特別障害者である場合には、四十万円)を控除する。2居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が障害者である場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その障害者一人につき二十七万円(その者が特別障害者である場合には、四十万円)を控除する。3居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が特別障害者で、かつ、その居住者又はその居住者の配偶者若しくはその居住者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている者である場合には、前項の規定にかかわらず、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その特別障害者一人につき七十五万円を控除する。4前三項の規定による控除は、障害者控除という。

障害者控除は、本人・同一生計配偶者・扶養親族が障害者である場合に、総所得金額などから一定額を引く制度である(所得税法第79条)。

額は3つあり、それぞれ項が違う

区分控除額条番号
障害者27万円所得税法第79条第1項・第2項
特別障害者40万円同条第1項・第2項のかっこ書き
同居している特別障害者75万円同条第3項

本人が障害者である場合は第1項、同一生計配偶者または扶養親族が障害者である場合は第2項による(所得税法第79条第1項・第2項)。額はどちらも27万円で、特別障害者は40万円である。

75万円は第3項にある

同一生計配偶者または扶養親族が特別障害者であり、かつ本人・本人の配偶者・生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている場合がある。この場合は、第2項にかかわらず1人につき75万円を控除する(所得税法第79条第3項)。

本人が特別障害者で1人暮らしの場合、第3項は同一生計配偶者と扶養親族についての定めなので、75万円ではなく40万円である(所得税法第79条第1項)。

人数分だけ引く

第2項と第3項は「その障害者一人につき」「その特別障害者一人につき」と書いている(所得税法第79条第2項・第3項)。対象者が複数いる場合は人数を掛ける。

障害者控除は扶養控除とは別の控除であり、16歳未満で扶養控除の対象にならない親族でも、障害者であれば障害者控除の対象になる(所得税法第79条第2項)。

3つの区分は、それぞれ別の項にある

所得税法第79条は4つの項でできている。額を決めているのは第1項から第3項で、区分ごとに項が分かれている。

区分誰が障害者か条番号
障害者居住者本人27万円所得税法第79条第1項
障害者同一生計配偶者または扶養親族27万円所得税法第79条第2項
特別障害者本人40万円所得税法第79条第1項かっこ書き
特別障害者同一生計配偶者または扶養親族40万円所得税法第79条第2項かっこ書き
同居特別障害者同一生計配偶者または扶養親族75万円所得税法第79条第3項

第4項は「前三項の規定による控除は、障害者控除という」とだけ書いている。名前を決めているのは第4項である。

本人が特別障害者でも、同居特別障害者の75万円は当たらない(所得税法第79条第3項)。同項は「居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が特別障害者で」と書いており、本人を対象にしていない。

障害者と特別障害者の定義

中身条番号
障害者精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるもの所得税法第2条第1項第28号
特別障害者障害者のうち、精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるもの所得税法第2条第1項第29号

どちらも「政令で定めるもの」で閉じている。 具体的にどの手帳のどの等級が当たるかは所得税法には書かれておらず、所得税法施行令第10条にある。この道具は判定をしていない。区分を入れてもらう形にしている。

同居特別障害者の「同居」は誰との同居か

第3項は「当該居住者又はその居住者の配偶者若しくはその居住者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている者」と書いている(所得税法第79条第3項)。

本人との同居に限られない。 配偶者や、生計を一にする他の親族と同居していても当たる。

住民税の障害者控除は額が違う

区分所得税住民税
障害者27万円(所得税法第79条第1項・第2項)26万円(地方税法第314条の2第1項第6号)
特別障害者40万円(同条同項かっこ書き)30万円(同号かっこ書き)
同居特別障害者75万円(所得税法第79条第3項)53万円(地方税法第314条の2第3項)

所得税と住民税で額が違う。 住民税の側は、同居特別障害者だけ第1項ではなく第3項にある。地方税法第314条の2第3項は「当該特別障害者に係る第一項第六号の金額は、五十三万円とする」と、第1項第6号の額を置き換える形で書いている。

道府県民税の側は同法第34条にあり、額は同じである。住民税の所得割そのものは住民税の所得割と均等割にある。

扶養控除と重ねられる

障害者控除と扶養控除は別の条である。 扶養親族が障害者であれば、扶養控除(所得税法第84条第1項)と障害者控除(同法第79条第2項)の両方を引く。

16歳未満の扶養親族でも障害者控除は引ける。 扶養控除の側は控除対象扶養親族であること(年齢16歳以上・所得税法第2条第1項第34号の2イ)を要件にしているが、障害者控除の第2項は「扶養親族が障害者である場合」と書いており、控除対象扶養親族に限っていない。

扶養控除を参照。

端数の扱い

所得税法第79条は端数について何も書いていない。 27万円・40万円・75万円のいずれかに人数を掛けるだけで、端数は出ない。

よくある取り違え

1. 「本人が同居特別障害者なら75万円」

当たらない。 所得税法第79条第3項は「居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が特別障害者で」と書いており、本人は対象外である。本人が特別障害者なら第1項の40万円になる。

2. 「16歳未満は障害者控除も引けない」

引ける。 所得税法第79条第2項は「扶養親族」と書いており、控除対象扶養親族(16歳以上)に限っていない。扶養控除の側だけが16歳以上を要件にしている(所得税法第2条第1項第34号の2イ)。

3. 「住民税も27万円」

住民税は26万円である(地方税法第314条の2第1項第6号)。特別障害者は30万円、同居特別障害者は53万円(同条第3項)で、いずれも所得税と違う。

4. 「障害者手帳があれば自動的に特別障害者」

特別障害者は「重度の障害がある者で政令で定めるもの」である(所得税法第2条第1項第29号)。障害者との線引きは所得税法施行令第10条にあり、所得税法の本文には書かれていない。

5. 「同居していないと同居特別障害者にならない」

本人と同居していなくてもよい。 所得税法第79条第3項は、本人・配偶者・生計を一にする他の親族のいずれかとの同居を常況としていればよいと書いている。

よくある質問

何人でも引けますか

引ける。 所得税法第79条第2項は「その障害者一人につき」、第3項は「その特別障害者一人につき」と書いており、人数の上限は無い。

配偶者控除と重ねられますか

重ねられる。 配偶者控除は所得税法第83条、障害者控除は同法第79条第2項で、別の条である。同一生計配偶者が障害者であれば両方を引く。配偶者控除を参照。

同一生計配偶者と控除対象配偶者は同じものですか

違う。 同一生計配偶者は所得税法第2条第1項第33号、控除対象配偶者は同項第33号の2である。控除対象配偶者は「同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者」で、本人の所得に上限がある。障害者控除の第2項が見ているのは同一生計配偶者のほうなので、本人の合計所得金額が1,000万円を超えていても引ける。

本人が障害者で、扶養親族にも障害者がいる場合は

両方引ける。 第1項が本人、第2項が同一生計配偶者または扶養親族で、別の項である(所得税法第79条第1項・第2項)。

年の途中で障害者になった場合は

所得税法第79条は時点を書いていない。 判定の時点は同法第85条にある。この道具は区分を入れてもらう形にしている。

所得の要件はありますか

障害者控除の側には無い。 所得税法第79条は本人の所得にも障害者の所得にも上限を書いていない。ただし第2項の「扶養親族」の定義(所得税法第2条第1項第34号)に合計所得金額58万円以下という要件があるので、そこで絞られる。

条文の言い方をそのまま読む

所得税法第79条第3項は、第2項を打ち消す形で書かれている。

前項の規定にかかわらず、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その特別障害者一人につき七十五万円を控除する

「前項の規定にかかわらず」なので、第2項の40万円と第3項の75万円は足さない。 75万円に置き換わる。

所得税の計算のどこに入るか

障害者控除は所得控除である。所得税法第21条第1項第3号の段で、税率を当てる前の所得から引く。税額から引く配当控除(所得税法第92条)とは段が違う。

所得控除どうしの順序は、雑損控除だけが先と決まっている(所得税法第87条第1項)。同項は障害者控除を名指しで挙げているが、他の所得控除とのあいだに順序は無い。引く先は総所得金額・山林所得金額・退職所得金額の順である(同条第2項)。

本人の事情による控除との関係

所得税法は、本人の事情による所得控除をいくつか並べて置いている。それぞれ別の条にあり、額も要件も違う。

控除本人の所得の要件条番号
障害者控除27万円無し所得税法第79条第1項
寡婦控除27万円合計所得金額500万円以下所得税法第80条第1項
ひとり親控除35万円合計所得金額500万円以下所得税法第81条第1項
勤労学生控除27万円合計所得金額85万円以下所得税法第82条

障害者控除だけ、本人の所得に上限が無い(所得税法第79条第1項)。額が同じ27万円でも、要件は同じではない(同項・同法第80条第1項・第82条)。

寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除の判定は寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除にある。

何を入れれば正しく計算できるか

上の計算欄に入れるのは区分人数である(所得税法第79条第1項〜第3項)。

  • 本人が障害者なら「障害者」、重度なら「特別障害者」(所得税法第79条第1項)
  • 同一生計配偶者または扶養親族が障害者なら同じ区分を選ぶ(同条第2項)
  • そのうえで同居を常況としている特別障害者なら「同居している特別障害者」(同条第3項)

本人と扶養親族で区分が違う場合は、分けて計算して足すこと。 上の計算欄は区分を1つずつ選ぶ形にしている。

判定の時期

障害者に該当するかどうかの判定は、その年12月31日の現況による(所得税法第85条第3項)。

年の途中で死亡した場合は、その時の現況による(同項かっこ書き)。

この計算が扱っていないこと

  • 障害者・特別障害者に当たるかどうかの判定(所得税法施行令第10条)。区分を入れてもらう形にしている
  • 住民税の障害者控除(地方税法第314条の2第1項第6号・同条第3項)
  • 判定の時点(所得税法第85条)

関連する計算

同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

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