けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

公的年金等控除の計算

公的年金等控除とは、公的年金等の収入金額から差し引く額で、雑所得のうち公的年金等に係るものの金額を計算するために用いるものである(所得税法第35条第4項/租税特別措置法第41条の15の3第1項)。

65歳以上の最低保障は所得税法には書かれていません。租税特別措置法が所得税法の条文を読み替えています。その経路を出します。

計算する

源泉徴収票の「支払金額」
公的年金等に係る雑所得を除いた合計所得金額(所得税法第35条第4項第1号)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

公的年金等の収入金額 3,300,000円/その年の年齢 65歳以上/年金以外の合計所得金額 0円

項目金額条番号
イ 定額の部分400,000円所得税法第35条第4項第1号イ
ロ 収入から500,000円を引いた残額 2,800,000円による部分700,000円所得税法第35条第4項第1号ロ(1)
公的年金等控除額1,100,000円所得税法第35条第4項(イ 400,000円 + ロ 700,000円)
公的年金等に係る雑所得2,200,000円所得税法第35条第2項第1号
  • 控除額が収入を超える場合の定めは条文に無い。ここでは雑所得を0円としている
条番号
所得税法第35条第4項/租税特別措置法第41条の15の3第1項
適用
所得税法第35条第4項・租税特別措置法第41条の15の3第1項
出どころ
所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
適用年度
所得税法 2026-08-12 施行(改正版 340AC0000000033_20260812_508AC0000000064)
出どころ
租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)
適用年度
租税特別措置法 2026-08-12 施行(改正版 332AC0000000026_20260812_508AC0000000064)
取得日
2026-08-31

どこまでを計算しているか

65歳以上かどうかは、その年の12月31日の年齢で判定する扱いが実務にあるが、租税特別措置法第41条の15の3にはその定めが無い。この道具は年齢を利用者が選ぶ形にしている。

条文

所得税法(2026-08-12 施行)/租税特別措置法(2026-08-12 施行)から取りました。1229字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点から変わっています。 文字が変わったことだけを確かめています。答えが変わるかは別です(何が変わったか)。

所得税法第35条第4項/租税特別措置法第41条の15の3第1項 を開く

(雑所得)第三十五条雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。2雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。一その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額二その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額3前項に規定する公的年金等とは、次に掲げる年金をいう。一第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定に基づく年金その他同条第一号及び第二号に規定する制度に基づく年金(これに類する給付を含む。第三号において同じ。)で政令で定めるもの二恩給(一時恩給を除く。)及び過去の勤務に基づき使用者であつた者から支給される年金三確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金(第三十一条第三号に規定する規約に基づいて拠出された掛金のうちにその年金が支給される同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者(同項に規定する加入者であつた者を含む。)の負担した金額がある場合には、その年金の額からその負担した金額のうちその年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する年金として政令で定めるもの4第二項に規定する公的年金等控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。一その年中の公的年金等の収入金額がないものとして計算した場合における第二条第一項第三十号(定義)に規定する合計所得金額(次号及び第三号において「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額」という。)が千万円以下である場合次に掲げる金額の合計額(当該合計額が六十万円に満たない場合には、六十万円)イ四十万円ロその年中の公的年金等の収入金額から五十万円を控除した残額の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額(1)当該残額が三百六十万円以下である場合当該残額の百分の二十五に相当する金額(2)当該残額が三百六十万円を超え七百二十万円以下である場合九十万円と当該残額から三百六十万円を控除した金額の百分の十五に相当する金額との合計額(3)当該残額が七百二十万円を超え九百五十万円以下である場合百四十四万円と当該残額から七百二十万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額(4)当該残額が九百五十万円を超える場合百五十五万五千円二その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が千万円を超え二千万円以下である場合次に掲げる金額の合計額(当該合計額が五十万円に満たない場合には、五十万円)イ三十万円ロ前号ロに掲げる金額三その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が二千万円を超える場合次に掲げる金額の合計額(当該合計額が四十万円に満たない場合には、四十万円)イ二十万円ロ第一号ロに掲げる金額

公的年金等に係る雑所得の金額は、その年の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を引いた残額である(所得税法第35条第2項第1号)。

公的年金等控除額は、イとロを足した金額である(所得税法第35条第4項)。合計が最低保障額に満たない場合は、最低保障額になる。

イ 定額の部分は、年金以外の所得で決まる

年金以外の合計所得金額イの金額最低保障額条番号
1,000万円以下40万円60万円所得税法第35条第4項第1号
1,000万円超 2,000万円以下30万円50万円同項第2号
2,000万円超20万円40万円同項第3号

ここでいう合計所得金額は、その年の公的年金等の収入金額がないものとして計算したものである(所得税法第35条第4項第1号)。

ロ 収入に応じた部分

収入金額から50万円を引いた残額によって、4つに分かれる(所得税法第35条第4項第1号ロ)。

50万円を引いた残額ロの金額条番号
360万円以下残額 × 25%所得税法第35条第4項第1号ロ(1)
360万円超 720万円以下90万円 +(残額 − 360万円)× 15%同ロ(2)
720万円超 950万円以下144万円 +(残額 − 720万円)× 5%同ロ(3)
950万円超155万5,000円同ロ(4)

ロの部分は、年金以外の所得がいくらであっても変わらない。第2号も第3号も「前号ロに掲げる金額」「第一号ロに掲げる金額」と書いて、第1号ロをそのまま引いている(所得税法第35条第4項第2号・第3号)。

65歳以上の110万円は所得税法にない

よく知られている「65歳以上は110万円」という最低保障額は、所得税法第35条には書かれていない。租税特別措置法第41条の15の3第1項が、所得税法の条文を読み替えている。

読み替えの内容は次のとおりである(租税特別措置法第41条の15の3第1項)。

所得税法第35条第4項の65歳以上の場合は
第1号の「60万円」110万円
第2号の「50万円」100万円
第3号の「40万円」90万円

読み替えられるのは最低保障額だけである。 イの40万円・30万円・20万円(所得税法第35条第4項第1号〜第3号)も、ロの段(同項第1号ロ)も、読み替えられていない。

年齢が65歳以上である個人が、平成17年以後の各年において公的年金等の収入金額がある場合に適用される(租税特別措置法第41条の15の3第1項)。

控除額が収入を超えるとき

条文は最低保障額を「合計額が六十万円に満たない場合には、六十万円」と書いており(所得税法第35条第4項第1号)、収入金額を超えてはならないとは書いていない。収入が最低保障額を下回る場合の扱いは条文に無い。このページは雑所得を0円としている。これは条文から出したものではない。

雑所得は総所得金額に入り(所得税法第22条第2項第1号)、所得控除を引いた残額に所得税の税率を掛ける。年金以外に給与がある場合は給与所得控除を先に引く。

65歳の線は、所得税法ではなく措置法にある

所得税法第35条第4項が公的年金等控除額を定めているが、65歳以上の区分そのものは租税特別措置法第41条の15の3にある。

「65歳以上なら110万円」という広く知られた数字は、所得税法第35条を読んでも出てこない。 措置法を見ないと辿り着けない。

先に一定額を引いてから段に当てる

まず50万円を引く(所得税法第35条第4項第1号ロ)。その残額に段を当てる。

条番号
360万円以下25%0円所得税法第35条第4項第1号ロ(1)
360万円超 720万円以下15%90万円同号ロ(2)
720万円超 950万円以下5%144万円同号ロ(3)
950万円超定額 155万5,000円同号ロ(4)

段は「枝」で書かれている。 号の下に(1)(2)(3)(4)と枝番号が並ぶ形である。

合計所得金額でも3段に分かれる

公的年金等以外の所得が多いと、控除額が下がる(所得税法第35条第4項第1号〜第3号)。

公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額条番号
1,000万円以下第1号所得税法第35条第4項第1号
1,000万円超 2,000万円以下第2号同項第2号
2,000万円超第3号同項第3号

号によって、最低保障額と段の底が変わる。 年金の額だけでは決まらない。

最低保障額がある

各号のイに、控除額の最低額が書かれている(所得税法第35条第4項各号イ)。年金の額が小さくても、この額までは引ける。上の計算は、どの号のどの枝で計算したかを出している。

公的年金等とは何か

所得税法第35条第3項が定めている。 国民年金法・厚生年金保険法などによる年金、恩給、確定給付企業年金法による年金などが挙げられている。

老齢基礎年金・老齢厚生年金はここに当たる。国民年金の保険料と老齢基礎年金を参照。障害基礎年金・遺族基礎年金は非課税である(国民年金法第25条)。障害基礎年金遺族基礎年金を参照。

雑所得の一部である

公的年金等に係る所得は雑所得である(所得税法第35条第1項)。総所得金額に入る(同法第22条第2項第1号)。

端数の扱い

所得税法第35条第4項は端数について何も書いていない。

よくある取り違え

1. 「65歳以上は110万円と所得税法に書いてある」

書いていない。租税特別措置法第41条の15の3にある。

2. 「年金の額だけで控除額が決まる」

公的年金等以外の合計所得金額でも3段に分かれる(所得税法第35条第4項第1号〜第3号)。

3. 「障害年金にも課税される」

非課税である(国民年金法第25条)。公的年金等控除の対象にもならない。

4. 「公的年金等は分離課税」

雑所得として総所得金額に入る(所得税法第35条第1項・同法第22条第2項第1号)。

5. 「個人年金保険も公的年金等」

所得税法第35条第3項の号に当たるかどうかで決まる。 生命保険の個人年金は通常この号に当たらない。

よくある質問

年金から源泉徴収されますか

所得税法第203条の2以下に定めがある。 第35条には書かれていない。

確定申告は必要ですか

所得税法第121条第3項に、公的年金等の申告不要の定めがある。

給与と年金の両方がある場合は

それぞれの所得を計算して合算する(所得税法第22条第2項第1号)。給与所得の側は給与所得控除を参照。

遺族年金も対象ですか

非課税である(国民年金法第25条・厚生年金保険法第41条第2項)。

65歳はいつの時点で見ますか

租税特別措置法第41条の15の3が年齢の区分を定めている。 この道具は年齢を入れてもらう形にしている。

住民税でも同じ控除ですか

地方税法は所得税法の計算の例による形をとっている。 雑所得の金額そのものは所得税法第35条で計算する。

この計算が扱っていないこと

  • 公的年金等に当たるかどうかの判定(所得税法第35条第3項)
  • 年金からの源泉徴収(所得税法第203条の2以下)
  • 申告不要の判定(所得税法第121条第3項)

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同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

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