課税団体は指定都市等に限られる
事業所税は、事業所等所在の指定都市等において課する(地方税法第701条の32第1項)。
すべての市町村が課すわけではない。 指定都市等の範囲は地方税法第701条の31第1項第1号にある。
法人でも個人でも課される(地方税法第701条の32第1項)。同項は「法人又は個人の行う事業」と書いている。
資産割と従業者割は、別々に判定する
事業所税は、資産割額及び従業者割額の合算額によって課する(地方税法第701条の32第1項)。
| 税率 | 免税点 | |
|---|---|---|
| 資産割 | 1平方メートルにつき600円(地方税法第701条の42) | 事業所床面積1,000平方メートル以下(地方税法第701条の43第1項) |
| 従業者割 | 100分の0.25(地方税法第701条の42) | 従業者100人以下(地方税法第701条の43第1項) |
免税点は2つある。 地方税法第701条の43第1項は「資産割を」「従業者割を」と分けて書いている。床面積は超えているが従業者は100人以下、という場合は資産割だけが掛かる。
資産割と従業者割は、課税標準の性質が違う
| 割 | 課税標準 | 条番号 |
|---|---|---|
| 資産割 | 事業所床面積 | 地方税法第701条の40第1項 |
| 従業者割 | 従業者給与総額 | 地方税法第701条の40第2項 |
片方は物理量、もう片方は金額である。 税率も「1平方メートルにつき600円」と「100分の0.25」で、単位が違う(地方税法第701条の42)。
従業者割の課税標準は人数ではなく給与総額である。 人数は免税点の判定に使う(地方税法第701条の43第1項)。判定に使う数と、税額を出す数が違う。
同じ税なのに、2つの計算がまったく別の形をしている。 合算して1つの税額にする(地方税法第701条の32第1項)。
免税点の判定は、税額を出す前に行う
| 割 | 判定に使う数 | 税額に使う数 | 条番号 |
|---|---|---|---|
| 資産割 | 事業所床面積 | 事業所床面積 | 地方税法第701条の43第1項 |
| 従業者割 | 従業者の数 | 従業者給与総額 | 同項 |
従業者割だけ、判定に使う数と税額に使う数が違う。 人数で判定し、給与総額に率を掛ける。
人数が100人以下なら、給与総額がいくらでも従業者割は課さない。
免税点は「以下」で切れる
第701条の43第1項は「千平方メートル以下である場合には資産割を、……百人以下である場合には従業者割を課することができない」と書いている。
ちょうど1,000㎡・ちょうど100人なら課さない。 1,001㎡・101人から掛かる。
免税点は同一の者の合計で見る
同一の者が当該指定都市等の区域内において行う事業に係る各事業所等について、合計面積・合計数で判定する(地方税法第701条の43第1項)。
1つの事業所だけでは判定しない。 同じ市内に複数の事業所があれば合算する。この道具は1つの事業所等の数字をそのまま使っている。
企業組合等の特例
第2項に、企業組合または協業組合についての免税点の特例がある(地方税法第701条の43第2項)。組合員が組合員となった際にその者の事業の用に供されていた事業所用家屋についての定めである。
事業年度の途中で始めた場合は月割り
新設された事業所等については、事業所床面積に事業を行った月数を乗じて12で除する(地方税法第701条の40第1項)。
従業者給与総額は、その期間に支払われた額である(同条第2項)。資産割だけが月割りの形をとる。
従業者と事業所床面積の範囲
従業者の範囲は地方税法第701条の31第1項第7号に定義がある。 事業所等に勤務すべき者をいう。
事業所床面積は同項第6号に定義がある。
100分の0.25という書き方
第701条の42は「従業者割にあつては百分の〇・二五」と書いている。
小数を含む率が条文に直接書かれている。 消費税法第29条の「百分の七・八」と同じ書き方である。消費税の税率と内訳を参照。
この道具は、この率(地方税法第701条の42)を小数で持たずに整数で計算している。 浮動小数点で1円ずれるのを避けるためである。
端数の扱い
| 何を | どうする | 条番号 |
|---|---|---|
| 課税標準 | 1,000円未満切捨て(従業者割) | 地方税法第20条の4の2第1項 |
| 税額 | 100円未満切捨て | 地方税法第20条の4の2第3項 |
非課税と課税標準の特例
地方税法第701条の34に、非課税の定めがある。 病院・学校・社会福祉事業など、用途による非課税が並んでいる。
同条には課税標準の特例もある。 一定の施設について、床面積や給与総額の一部を課税標準から除く。
この道具は扱っていない。
申告納付である
事業所税は申告納付による(地方税法第701条の46第1項)。
事業年度終了の日から2か月以内に申告書を提出し、その税額を納付する(同項)。賦課決定を待つのではない。
都市計画税との違い
| 税 | 何に課すか | 課税団体 | 条番号 |
|---|---|---|---|
| 事業所税 | 事業所等における事業 | 指定都市等 | 地方税法第701条の32第1項 |
| 都市計画税 | 土地・家屋 | 市街化区域を有する市町村 | 地方税法第702条第1項 |
どちらも都市の整備に充てる目的税だが、課す相手も課税団体も違う。固定資産税・都市計画税を参照。
よくある取り違え
1. 「事業所税は全国どこでも課される」
指定都市等に限られる(地方税法第701条の32第1項)。
2. 「従業者割は人数に率を掛ける」
給与総額に掛ける(地方税法第701条の40第2項)。人数は免税点の判定に使う。
3. 「免税点はどちらか一方」
2つある(地方税法第701条の43第1項)。それぞれ別に判定する。
4. 「ちょうど1,000㎡なら課される」
課さない(地方税法第701条の43第1項)。「以下」である。
5. 「1つの事業所で判定する」
同一の者の合計で判定する(地方税法第701条の43第1項)。
6. 「免税点を超えたら超えた分だけ課税」
課税標準は全体である(地方税法第701条の40)。免税点は課税するかどうかの線であって、控除ではない。
7. 「資産割も月割りにならない」
新設された事業所等は月割りになる(地方税法第701条の40第1項)。
8. 「賦課決定を待てばよい」
申告納付である(地方税法第701条の46第1項)。
よくある質問
従業者の範囲は
地方税法第701条の31第1項第7号に定義がある。
事業所床面積とは何ですか
地方税法第701条の31第1項第6号に定義がある。
個人事業者も対象ですか
対象である(地方税法第701条の32第1項)。「法人又は個人の行う事業」と書いている。
事業年度の途中で開業した場合は
地方税法第701条の40第1項に月割りの定めがある。
免税点の判定はいつの時点ですか
地方税法第701条の43第1項は「同一の者が当該指定都市等の区域内において行う事業に係る各事業所等」と書いている。
免税点を超えたら全部に課税されますか
課税標準は全体である。 免税点は課税するかどうかの線であって、控除ではない。
非課税や課税標準の特例はありますか
地方税法第701条の34にある。
申告の期限は
事業年度終了の日から2か月以内である(地方税法第701条の46第1項)。
この計算が扱っていないこと
- 非課税と課税標準の特例(地方税法第701条の34)
- 免税点の合算(地方税法第701条の43第1項)。1つの事業所等の数字を使っている
- 企業組合等の特例(地方税法第701条の43第2項)
- 新設された事業所等の月割り(地方税法第701条の40第1項)
- 申告納付の手続(地方税法第701条の46)
数字をどう確かめたかは検算の方法にある。