これは給与所得に係る源泉徴収である(所得税法第4編第2章)。給与等の支給期が毎日と定められている場合や、労働した日ごとに支払を受ける給与については、別表第三の日額表によって所得税を徴収する(所得税法第185条第1項)。
日額表を使う場面は2つある
所得税法第185条第1項第1号は、支給期によって使う別表を分けている。
| 支給期 | 使う表 | 条番号 |
|---|---|---|
| 毎月 | 別表第二(月額表)の甲欄 | 所得税法第185条第1項第1号イ |
| 毎半月 | 別表第二の甲欄の2分の1 | 同号ロ |
| 毎旬(10日ごと) | 別表第二の甲欄の3分の1 | 同号ハ |
| 月の整数倍の期間ごと | 別表第二の甲欄に倍数を乗じた額 | 同号ニ |
| 毎日 | 別表第三(日額表)の甲欄 | 同号ホ |
| 上記以外 | 別表第三の甲欄に支給日数を乗じた額 | 同号ヘ |
日額表を使うのは、ホとヘの2つの場合である。 毎日払う場合と、それ以外(週払いなど)で日数を掛ける場合である。
ロ・ハ・ニ・ヘでは、給与等の金額のほうも読み替える。 第1号の柱書が「当該金額の2倍に相当する金額、当該金額の3倍に相当する金額、給与等の月割額又は給与等の日割額」と書いている(所得税法第185条第1項第1号)。
日額表には欄が3つある
月額表(別表第二)は甲欄と乙欄の2つだが、日額表には丙欄がある。
| 欄 | 使う場合 | 条番号 |
|---|---|---|
| 甲欄 | 給与所得者の扶養控除等申告書を提出している | 所得税法第185条第1項第1号 |
| 乙欄 | 提出していない | 同項第2号ホ |
| 丙欄 | 労働した日または時間によって算定され、かつ労働した日ごとに支払を受ける給与等で政令で定めるもの | 同項第3号 |
丙欄は乙欄よりずっと低い。 同じ日額でも、どの欄を使うかで税額が大きく変わる(所得税法別表第三)。
丙欄は、日々雇い入れられる者などに使う(所得税法第185条第1項第3号)。継続して2か月を超えて支払う場合はこの号から外れる。この道具は甲欄と乙欄を扱っている。
甲欄と乙欄の分かれ目
| 欄 | どんな場合 | 条番号 |
|---|---|---|
| 甲欄 | 給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者に、その提出を経由した支払者が支払う給与等 | 所得税法第185条第1項第1号 |
| 乙欄 | それ以外 | 同項第2号 |
申告書を出しているかどうかで決まる。 扶養親族の数は甲欄の中でさらに列を選ぶために使う。
源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族
表の列を決めるのは、扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者および源泉控除対象親族の有無と数である(所得税法第185条第1項第1号)。
年末に確定する配偶者控除・扶養控除の要件とは数字が違う。
| 語 | 所得の要件 | 条番号 |
|---|---|---|
| 源泉控除対象配偶者 | 本人900万円以下・配偶者95万円以下 | 所得税法第2条第1項第33号の4 |
| 源泉控除対象親族 | 19歳以上23歳未満で合計所得金額100万円以下 | 所得税法第2条第1項第34号の5 |
| 控除対象配偶者 | 本人1,000万円以下・配偶者58万円以下 | 所得税法第2条第1項第33号の2 |
| 控除対象扶養親族 | 16歳以上・合計所得金額58万円以下 | 所得税法第2条第1項第34号の2 |
月々の源泉徴収と、年末の控除は別の話である。配偶者控除・扶養控除を参照。
国外居住親族には書類が要る
源泉控除対象配偶者または源泉控除対象親族が国外居住親族である場合、所得税法第194条第5項の書類の提出または提示がされた者に限る(所得税法第185条第1項第1号かっこ書き)。
表の上のほうは式で書かれている
日額表は24,000円までが数値の表で、そこから上は式である(所得税法別表第三)。9つの段があり、甲欄・乙欄・丙欄でそれぞれ率が違う(同表)。
甲欄で扶養親族等の数が7人を超える場合は、7人の場合の税額から、7人を超える1人ごとに50円を控除する(所得税法別表第三の備考)。乙欄で従たる給与についての扶養控除等申告書が提出されている場合も、扶養親族等1人ごとに50円を控除する(同備考)。
復興特別所得税は別表に含まれない
別表第三が出すのは所得税だけである。 実際に源泉徴収されるのは、これに復興特別所得税を足した額である。
| 順 | 中身 | 条番号 |
|---|---|---|
| 1 | 別表第三から所得税額を引く | 所得税法第185条第1項・別表第三 |
| 2 | その2.1%が復興特別所得税 | 復興財確法第28条第2項 |
| 3 | 合計額の1円未満を切り捨てる | 復興財確法第31条第2項 |
源泉徴収の義務そのものは、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法第28条第1項にある。
表そのものは書き写していない
別表第三は205行あり、それぞれに甲欄8つ・乙欄・丙欄がある。あわせて2,050マスある。
法令APIから取った別表第三を機械でそのまま取り出して使っている。取り出したあとに、すき間が無いこと・税額が下がる行が無いこと・丙欄が乙欄より大きい行が無いこと(欄の取り違え)を確かめている(検算の方法)。
よくある取り違え
1. 「日額表は日給の人だけ」
支給期が毎日の場合(ホ)と、それ以外で日数を掛ける場合(ヘ)がある(所得税法第185条第1項第1号ホ・ヘ)。
2. 「丙欄は月額表にもある」
日額表(別表第三)にしかない。
3. 「扶養親族の数で甲乙が決まる」
申告書の提出の有無で決まる(所得税法第185条第1項第1号・第2号)。
4. 「源泉控除対象配偶者は控除対象配偶者と同じ」
違う(所得税法第2条第1項第33号の2・第33号の4)。所得の要件が違う。
5. 「半月払いは日額表」
別表第二の甲欄の2分の1である(所得税法第185条第1項第1号ロ)。
6. 「別表第三の税額に復興特別所得税が入っている」
入っていない(所得税法別表第三)。所得税額の2.1%を別に足す(復興財確法第28条第2項)。
よくある質問
別表第三はどこにありますか
所得税法の別表である。 国税庁が公表している表ではなく、法律そのものに載っている。
年末調整で精算されますか
所得税法第190条に年末調整の定めがある。
2か所から給与をもらっている場合は
主たる給与等の支払者には甲欄、従たる給与等の支払者には乙欄が使われる(所得税法第185条第1項第1号・第2号)。
賞与はどう計算しますか
所得税法第186条にある。賞与の源泉徴収税額を参照。
過去の時点でも計算できますか
この道具は時点を選べる。 e-Gov法令検索の法令APIで、その時点の別表第三を取っている。いつの条文で計算するかを参照。
社会保険料はどう扱いますか
表を引くのは社会保険料等控除後の給与等の金額である。
この計算が扱っていないこと
- 丙欄(所得税法第185条第1項第3号)
- 月の整数倍の期間ごとと定められている場合の乙欄(所得税法第185条第1項第2号ニ)。別表第二の乙欄に倍数を掛ける。この道具は日ごとの支払だけを扱う
- 年末調整(所得税法第190条)
- 障害者控除等の適用を受ける者に係る徴収税額(所得税法第187条)
- 社会保険料の計算。控除後の額を入れてもらう形にしている
数字をどう確かめたかは検算の方法にある。