けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

所得税の税率と税額の計算

所得税の税率とは、課税総所得金額などを条文の表の上欄の区分に分け、それぞれの金額に下欄の率を乗じて税額を計算するために用いる率である(所得税法第89条第1項)。

速算表の「控除額」を使わず、条文の表どおりに段ごとに計算して、どの段でいくらかかっているかを出します。

計算する

所得控除を引いたあとの金額

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

課税される所得金額 5,000,000円

項目金額条番号
0円超 1,950,000円以下の 1,950,000円 × 5%97,500円所得税法第89条第1項の表
1,950,000円超 3,300,000円以下の 1,350,000円 × 10%135,000円所得税法第89条第1項の表
3,300,000円超 6,950,000円以下の 1,700,000円 × 20%340,000円所得税法第89条第1項の表
所得税額(復興特別所得税を含まない)572,500円所得税法第89条第1項
  • 課税される所得金額 5,000,000円(千円未満切捨て・国税通則法第118条第1項)で計算した
  • 納める額は百円未満を切り捨てる(国税通則法第119条第1項)と 572,500円
条番号
所得税法第89条第1項
適用
居住者の課税総所得金額・課税退職所得金額
出どころ
所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
適用年度
所得税法 2026-08-12 施行(改正版 340AC0000000033_20260812_508AC0000000064)
取得日
2026-08-31

条文

所得税法(2026-08-12 施行)から取りました。442字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。

所得税法第89条第1項 を開く

(税率)第八十九条居住者に対して課する所得税の額は、その年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額に五を乗じて計算した金額との合計額とする。百九十五万円以下の金額百分の五百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額百分の十三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額百分の二十六百九十五万円を超え九百万円以下の金額百分の二十三九百万円を超え千八百万円以下の金額百分の三十三千八百万円を超え四千万円以下の金額百分の四十四千万円を超える金額百分の四十五2課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額は、それぞれ、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から前章第四節(所得控除)の規定による控除をした残額とする。

所得税の額は、課税総所得金額を所得税法第89条第1項の表の上欄の区分に分け、それぞれに下欄の税率を掛けた金額を合計したものである(所得税法第89条第1項)。

区分ごとに掛けるので、全体に一つの税率が掛かるわけではない。課税所得が330万円を1円超えても、その1円に20%が掛かるだけで、330万円までの部分の税率は変わらない(所得税法第89条第1項の表)。

税率の7段階

課税総所得金額の区分税率条番号
195万円以下の金額5%所得税法第89条第1項の表
195万円を超え330万円以下の金額10%同表
330万円を超え695万円以下の金額20%同表
695万円を超え900万円以下の金額23%同表
900万円を超え1,800万円以下の金額33%同表
1,800万円を超え4,000万円以下の金額40%同表
4,000万円を超える金額45%同表

速算表の「控除額」はどこから来るか

国税庁が公表している速算表には、税率のほかに控除額の欄がある(国税庁 タックスアンサー No.2260 所得税の税率)。これは所得税法第89条第1項に書かれている数字ではない。段ごとに掛けて足す計算を、1回の掛け算と1回の引き算にまとめたときの差額である。

このページは速算表を使わず、条文の表どおりに段ごとに計算している。結果は速算表と一致する。千円きざみで45,000点を突き合わせて確かめた(検算の方法)。

課税所得と税額の端数

課税標準に千円未満の端数があるときは切り捨てる(国税通則法第118条第1項)。したがって課税所得が1,950,999円でも1,950,000円として計算する。

納める税額に百円未満の端数があるときも切り捨てる(国税通則法第119条第1項)。

山林所得は5分5乗になる

課税山林所得金額については、5分の1に相当する金額を表の区分に分けて計算し、その合計に5を掛ける(所得税法第89条第1項)。このページの計算は課税総所得金額と課税退職所得金額を対象にしている。

課税所得を出すまで

課税総所得金額は、総所得金額から所得控除を引いた残額である(所得税法第89条第2項)。所得控除には基礎控除配偶者控除扶養控除医療費控除などがある。給与から出す場合は給与所得控除を先に引く。

表は1つで、3つの所得に使い回される

所得税法第89条第1項は、税率の表を1つしか持っていない。 その1つの表を、課税総所得金額・課税退職所得金額・課税山林所得金額の3つに当てる。

所得当て方条番号
課税総所得金額表をそのまま当てる所得税法第89条第1項
課税退職所得金額表をそのまま当てる同項
課税山林所得金額5分の1にして表を当て、税額を5倍する同項

山林所得だけ「5分5乗」になる。 条文は「その年分の課税山林所得金額の五分の一に相当する金額を……区分して……税率を乗じて計算した金額を合計した金額に五を乗じて計算した金額」と書いている。山林所得と5分5乗を参照。

段は7つ

課税所得の区分税率条番号
195万円以下100分の5所得税法第89条第1項の表
195万円超 330万円以下100分の10同表
330万円超 695万円以下100分の20同表
695万円超 900万円以下100分の23同表
900万円超 1,800万円以下100分の33同表
1,800万円超 4,000万円以下100分の40同表
4,000万円超100分の45同表

条文は「区分してそれぞれの金額に……税率を乗じて計算した金額を合計した金額」と書いている(所得税法第89条第1項)。段ごとに掛けて足す形である。 速算表(控除額を引く形)は条文には無く、この計算を1行で書き直したものである。この道具は条文どおり段ごとに計算し、内訳を出している。

課税総所得金額とは何か

総所得金額から所得控除を引いた残額である(所得税法第89条第2項)。

中身条番号
総所得金額利子・配当・不動産・事業・給与・譲渡(総合)・雑を合算し、譲渡(一時)と一時所得の合計の2分の1を足したもの所得税法第22条第2項
課税総所得金額総所得金額から所得控除を引いた残額所得税法第89条第2項

一時所得と一部の譲渡所得は2分の1にしてから総所得金額に入る(所得税法第22条第2項第2号)。一時所得譲渡所得(総合課税)を参照。

千円未満を切り捨てる

課税標準は1,000円未満を切り捨てる(国税通則法第118条第1項)。この定めは所得税法第89条には無い。 国税通則法にある。

この道具は切り捨ててから段を当てている。

復興特別所得税は別の法律にある

所得税額の2.1%を上乗せする復興特別所得税は、所得税法には無い。 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法第13条にある。

この道具は所得税法第89条の所得税額だけを出す。 源泉徴収の場面での上乗せは報酬・料金の源泉徴収税額で扱っている。

住民税の所得割は率が1つ

所得税は7段だが、住民税の所得割は一律10%である(地方税法第35条第1項・第314条の3第1項)。段が無い。住民税の所得割と均等割を参照。

よくある取り違え

1. 「税率45%なら所得の45%が税金」

段ごとに掛けて足す(所得税法第89条第1項)。4,000万円を超える部分だけが45%で、下の段はそれぞれの率で計算する。

2. 「速算表が条文にある」

無い。 所得税法第89条第1項の表は「区分」と「税率」の2列だけで、控除額の列は無い。速算表は計算を1行にまとめたものである。

3. 「山林所得も同じ表をそのまま当てる」

5分の1にして当て、5倍する(所得税法第89条第1項)。段が下がるので税額が小さくなる。

4. 「復興特別所得税も所得税法にある」

無い。 復興財確法第13条にある。

5. 「千円未満の切り捨ては所得税法にある」

無い。 国税通則法第118条第1項にある。

よくある質問

課税退職所得金額にも同じ表を使いますか

使う(所得税法第89条第1項)。ただし退職所得の金額を出す段階で2分の1にしている(同法第30条第2項)。退職所得と退職所得控除を参照。

分離課税の所得はこの表を使いますか

使わない。 土地建物の譲渡所得や株式等の譲渡所得は租税特別措置法に別の率がある。この道具は所得税法第89条だけを扱っている。

税額控除はどこで引きますか

税額を計算した後である(所得税法第21条第1項第5号)。配当控除外国税額控除の限度額を参照。

平均課税を使うとどうなりますか

所得税法第90条が、第89条第1項の適用の仕方を変える。 調整所得金額に第89条第1項を当てて、その割合を残りに掛ける。変動所得・臨時所得の平均課税を参照。

段の境目はどちらに入りますか

「以下」で切れる(所得税法第89条第1項の表)。195万円ちょうどなら5%の段である。

住民税と合わせると何%ですか

所得税は段によって5%から45%、住民税は一律10%である(所得税法第89条第1項・地方税法第35条第1項・第314条の3第1項)。合計の率はこの道具では出していない。

この計算が扱っていないこと

  • 復興特別所得税(復興財確法第13条)
  • 分離課税の税率(租税特別措置法)
  • 税額控除(所得税法第92条・第95条など)
  • 平均課税(所得税法第90条)。別の道具にしている

関連する計算

同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

この計算を何と突き合わせているか いつの条文で計算するか 計算の一覧